「アントレプレナー(Entrepreneur)」とは、起業家、経営者、事業家を意味する言葉です。
ゼロから事業を起こすという意味合いが強いため、日本語だと「創業者」が近いでしょう。
海外はもちろん、日本の大学でもアントレプレナー教育が注目されています。最近では子供を対象にしたアントレプレナー教育も始まりました。
今回は、アントレプレナーの真髄を僕に教えてくれた、尊敬する起業家とのエピソードをお伝えします。
僕の人生を変えたアントレプレナー
2013年、楽天グループ株式会社のアメリカ物流サービス立ち上げに関わっていた僕は、ある物流会社の買収を進めることになりました。このときに出会ったのが、その会社の創業者であるJoseph DiSorbo氏です。
彼は自分が創業した会社を深く愛していましたから、当然ながら買収は拒否されました。しかし、彼の会社のポテンシャルが高いのは明白だったため、一度拒否されたくらいで引き下がるわけにはいきません。
この買収が成功すれば、楽天のアメリカ進出には大きなプラスになる。そう確信していた僕は、最初のアポイントを取ったのです。
許された時間は30分
最初のアポイントは、わずか30分という短い時間の予定でした。面談場所に指定されたのはラスベガス。僕がいたロサンゼルスからは飛行機で1時間、自動車だと4〜6時間かかります。
しかし、僕は躊躇することなく、ラスベガスに向かいました。
「たった30分のために?」と思った人もいるでしょう。しかし、結果的に、この30分が僕と楽天グループの運命を大きく変えました。
30分の予定は3時間に延び、DiSorbo氏は買収を拒絶しつつも、なぜか次のアポイントメントを受け入れてくれました。
そして、この日をきっかけに、DiSorbo氏と僕は定期的に濃密な時間を持ち続け、最終的に彼は買収を承諾してくれたのです。この契約締結は、僕にとって大きな意味を持つ転機となりました。
アントレプレナーに必要なこと
彼のことを深く知れば知るほど、僕は彼に魅了されました。彼を通して、僕は「アントレプレナー」という存在の素晴らしさ、そして彼らが持つ特別な資質に気づいたのです。
アントレプレナーには次のことが必要不可欠だと僕は考えています。
・誠実な人柄であること
・高い志を持っていること
・自分の事業活動において、絶対的な自信を持っていること
・社会問題解決やビジネスの仕組みづくりに向けて、誰よりも率先して動く姿勢を持ち続けること
DiSorbo氏は卓越したビジネスセンスに加えて、上記のすべてを持ち合わせている稀有な人物です。彼の言葉や行動の一つ一つから、アントレプレナーシップが溢れ出ているように感じました。
彼との経験を通して、僕はアントレプレナーに必要な要素を学びました。また、これらを備えることで、困難な状況を乗り越えられ、新たな価値を創造していくことができると確信したのです。
DiSorbo氏との出会いは、僕にとってかけがえのないものとなりました。
彼が教えてくれたことは、僕の人生を大きく変え、その後も僕の行動指針となっています。彼のような素晴らしいアントレプレナーに出会えたことを、心から感謝しています。