ゴルフ場で感じた違和感~ジェンダー平等と現実のギャップ~

アメリカでは、さまざまな場面で「Gender Equality(ジェンダー平等)」という言葉が強調されますが、時に違和感を覚えることがあります。

僕が最近、そのことを痛感したのは、ゴルフ場でした。

ゴルフ場という、一見平等なはずの場所で、僕はあることに気づかされました。それは、男性だけが特別な空間を持つことができるという「不平等な現実」です。

目次

なぜ男性だけが? ゴルフ場で感じたジェンダーへの違和感

名門と称されるカントリークラブには、「メンズクラブ」と呼ばれる、女性立ち入り禁止の場所があります。

メンズクラブとは、ゴルフ場のクラブハウス内に設けられた男性専用のラウンジやバーのような場所。バーカウンターやソファーなどが置かれ、男性会員がリラックスして過ごせるようになっています。

男性会員同士が交流を深めたり、コミュニティを形成するための場として機能していますが、女性はその場に入れません。レディース専用スペースはあるものの、メンズクラブとは比べ物にならないほど簡素なもの。「この差はなんだ?」と、僕は強い違和感を抱きました。

メンズクラブは、ジェンダーギャップの象徴?

メンズクラブの設置理由について、施設側にたずねてみました。施設側が言うには、「シャワールームや更衣室が近いから」ということでしたが、僕はあまりにも安易だと感じました。

今の時代、ゴルフ場は家族や女性が プレーをすることを推奨しています。それにもかかわらず、男性だけが特別な空間を共有できるというのは、不公平といわれてもおかしくありません。

さらに、このカントリークラブの会員は、社会的に成功した人たちが多いです。弁護士や医師、実業家など、ジェンダー平等を訴える立場の人も少なくありません。しかし、彼らがメンズクラブについて異議を唱えることはなく、むしろ、自分たちの空間を頑なに守り続けているようにも見えます。

「偽善だ」。僕はそう感じました。メンズクラブの存在は、「ジェンダー平等」「多様性」という観点から見ると、多くの疑問が残ります。「メンズクラブはジェンダーギャップの一端を象徴する存在」といわれても不思議ではありません。

メンズクラブは再考すべき

メンズクラブが存在する理由には、歴史的な背景が影響しています。ゴルフは、誕生当初から男性中心のスポーツです。当時のアメリカは、今よりもずっと男性中心の社会でしたから、その慣習や価値観がいまだ根強く影響しているのでしょう。

伝統的なメンズクラブの形を変えるのは、容易なことではありません。既存会員の意向や、歴史的な経緯を考慮する必要があります。「時代とマッチしないから変えよう」と、イージーに手を加えられないのです。

しかし、時代は変わりました。これほどに「ジェンダー平等」「多様性」に対する意識が高まる中、メンズクラブの存在は再考する必要があるといえるでしょう。

たとえ小さな一歩でも、社会は必ず変わる

ゴルフ場という空間で感じた「ジェンダーの不平等」は、社会全体の縮図だと僕は思います。この問題に対して、僕たちはもっと目を向け、声を上げていく必要があるのではないでしょうか。

「踏み出すのがたとえ小さな一歩でも、社会は必ず変わる」

僕が信じていることです。ジェンダー平等の実現に向け、まずは、周囲の人々に声をかけ、一緒に考えていく機会をつくることから始めてみようと思います。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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