前回のポストでは、ディズニーが手がける「Story living by Disney(ストーリーリビング・バイ・ディズニー)」について紹介しました。
ディズニーがこのプロジェクトに乗り出した背景には、高齢者市場の巨大な可能性があると考えられます。
ディズニーの新たな挑戦「コティーノ」
ディズニーはこれまでアニメを通じて多くの物語を届けてきました。その世界観を現実で体験できる場としてディズニーランドを提供し、ロケーションベースのビジネスモデルを成功させています。
そして、その理念を基にディズニーのDNAを反映させた新たなプロジェクトとして、2022年に「コティーノ(COTINO)」を発表したことは、前回お伝えしました。
かつては子供向けのエンターテインメントに注力していたディズニーですが、高齢化社会が進む中、今度は成長が期待される高齢者市場に参入したのです。

人々の価値観を変えた? 大ヒット書籍『DIE WITH ZERO』
ディズニーから少し話はそれますが、アメリカで話題となった『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社/2020年出版)をご存じですか?
日本でもベストセラーとなり、テレビやメディアでも多数紹介されました。ロングセラーとなっているため、読んだことがある方や、これから読もうと考えている方もいるかもしれませんね。
この本は、お金の「貯め方」ではなく「使い切り方」に焦点を当てた一冊ですが、多くの人が「読後、人生観が変わった」と語っています。
著者は、全米で注目されるミリオネア、ビル・パーキンズ氏。彼が説く「人生を豊かにするお金の使い方」は、ざっくり分けると次のようになります。
──幸福は先延ばしせず、今を楽しむべき
若いうちから価値ある経験を積むことで、人生全体の満足度を高められる。
──財産を残すことより、今を充実させることが大切
いくら富を築いても、死後に持っていくことはできない。だからこそ「人生の終わりに財産を残さない」ことを意識すべき。
──お金・健康・時間のバランスが重要
どれか一つが欠けても、充実した人生を送ることは難しい。適切な管理が必要。
──チャンスには期限がある
好機を逃さないためには、思い切って行動することが必要。慎重すぎることで可能性を失うリスクも考慮すべき。
これまで「貯金=安心」と考え、「今やりたいこと」よりも未来に備えることを最優先にしてきた人に対し、この本は「その結果、大切なことを後回しにしていないか」と警鐘を鳴らしたのかもしれません。
そして、「今しかできないことに投資する」価値観へとシフトする重要性を伝えているといえるでしょう。
ディズニーがつくる「夢のシニアライフ」は始まったばかり
こうした価値観の変化に応える形で、ディズニーはシニア向けエンターテインメント施設の展開を始めました。
この動きは、今後日本にも波及する可能性があり、高齢者向けの生活空間が、よりエンターテインメント性を持つ時代が来るかもしれません。
ディズニーが創り上げる「夢のシニアライフ」は、世界のシニア世代にとって新たなライフスタイルの選択肢となるでしょう。
