マクロ経済的視点には限界がある! 行動経済学の必要性とは

前々回のポスト前回のポストでお伝えしたように、現在のアメリカ経済には、大企業の好調と中小企業の苦境という二つの顔があります。マクロ経済指標だけでは捉えきれない、経済の深層部分での格差が広がっているのは事実といえるでしょう。

アメリカ経済を理解するには、マクロ経済指標だけでは不十分だと僕は考えています。今回は、アメリカ経済を理解するために必要なことについてお話ししましょう。

目次

アメリカ経済の理解に必要なもう一つの視点とは

現在のアメリカ経済状況は、マクロ経済学だけでは十分に説明できません。というのも、コロナ禍における政府からの大規模な補助金が、混乱を招く一因となったからです。

2020年3月から2021年3月の2年間にかけてアメリカ政府により実施された5兆ドル(今の為替レートで計算すると約750兆円)を超える巨額な財政刺激策は、消費を急激に押し上げましたが、消費者の行動心理も大きく変えました。

そもそも、アメリカ人には「貯金よりも浪費」という特性があります。日本でいうと、江戸っ子のごとく「翌日に金は残さない」のがスタンダードなのです。

そのような特性の人たちが、何もせず補助金を得て贅沢な生活をしたら、どうなるか。大半の人が懸念するのは、「補助金という非労働所得への依存」でしょう。実際、その通りになりましたが、もう補助金は支給されず、悪い影響は残ったまま。富裕層と中低所得層の所得格差拡大は広がる一方です。

これらは、マクロ経済的視点だけでは捉えきれない社会問題です。この問題を理解するには、消費者の心理や行動を重視する行動経済学の視点が必要になるでしょう。

必要なのは、原点に戻った経営

コロナ禍の補助金特需が終わり、アメリカ経済は新たな局面を迎えています。

コロナ禍で成長した企業においては、その間の好業績は、もはや当てになりません。マクロ経済学だけでは捉えきれない側面が大きいため、消費者心理を重視する行動経済学の視点から市場を分析する必要があります。

これからの企業経営において重要なのは、消費者の行動を深く理解し、自社の提供価値との整合性を再確認することです。行動心理経済学に基づいた消費者分析を行い、原点に立ち返って経営戦略を見直すことが求められていると僕は考えています。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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