【第1回】ロサンゼルスの名門ゴルフコースで出会った75歳の賢人

以前、僕のブログで、ゴルフ場での出会いがいかに人脈形成に繋がるか、という話に触れたことがあります。

そしてこの度、『ゴルフ場での出会い』が、僕の人生とビジネスに想像を遥かに超える奇跡をもたらしました。ロサンゼルスの名門クラブで偶然出会った75歳の紳士との対話が、「まさか、こんな展開を迎えるとは!?」と、僕自身が一番驚いています。

僕が所属するアリソビエホカントリークラブは、ロサンゼルス南部のオレンジカウンティに位置する、素晴らしい環境のゴルフ場です。

先日、いつものように訪れたクラブで、僕は一人の初老のアメリカ人紳士と、たまたま同組になりました。その人こそが、奇跡の出会いの相手だったのです。

彼の名はスコットさん。75歳という年齢にもかかわらず、その存在感と、何よりも彼との間に生まれた深い対話は、僕にとって忘れられないものとなりました。

目次

偶然の出会いから始まった深い対話

ゴルフのラウンド中の会話は、最初のうちこそ天気やコースの状況といった当たり障りのないものでした。

しかし、ボールを追いかけ、フェアウェイを共に歩く中で、徐々に会話は個人的な内容へと移行。やがては日本とアメリカ、それぞれの文化における「美徳」や「価値観」という、より本質的なテーマへと移行していったのです。

この深い対話の中で、特に印象的だったのは「中庸」という概念についてでした。すなわち極端に走らず、調和と節度を保つという考え方は、現代社会においてますます重要になっていると僕は感じています。

スコットさんもまた、この「中庸」に通じる教えを持っている方でした。

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「中庸」と「嫉妬」について賢人の教え

スコットさんが語ってくれた言葉は、現代社会が抱える問題の本質を突いた、示唆に富むものばかりでした。


「信頼の拠り所が分断され、企業やブランドが共通言語となる一方で、それが誰かの『正しさの押しつけ』にならないか」という僕の問いに対して、スコットさんからは次のような答えが返ってきたのです。

「キリスト教にも“中庸”に通じる教えがある。それが“Temperance(節度)”だ。そして今の世の中を狂わせている最大の毒は、“Envy(妬みや羨望)”だ。

”Jealousy(やきもち)” は、まだ人間らしい感情だからいい。だがEnvyは、他人を引きずり下ろして、自分がすべてを奪おうとする破壊的な欲望なんだ」と語ってくれました。

この言葉は、僕の心を強く打ちました。確かに今、SNSや政治、職場などあらゆる場面で、自分の意見が通らないと他者を攻撃する動きが広がっています。

それはまさに、相手の成功をねたみ、引きずり下ろそうとする「Envy(羨望)」の感情が根底にあるのかもしれません。

年齢を超えた共感と未来への示唆

75歳のスコットさんと53歳の僕(信原)との間には、22歳という年齢差があります。しかし、この深い価値観の対話を通じて、僕たちはまるで長年の友人のように、互いを理解し、共感し合うことができました。

彼の言葉は、現代社会において「中庸」や「節度」といった普遍的な価値をいかに取り戻すか。そして「信頼」を再構築し「価値の共創」に取り組んでいくための対話の起点となるか。それらの問いに大きな示唆を与えてくれたのです。

この出会いが、単なるゴルフ仲間という枠を超え、僕自身の価値観にも深く影響を与え、今後のビジネス展開にも大きなヒントを与えてくれるとは……。この時の僕は、知る由もありませんでした。

次回は、このスコットさんの、まさに「波乱万丈」という言葉がぴったりの人生に迫ります。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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