昨年、日本に一時帰国した際に、大阪の阪急梅田で素晴らしいアート展を観覧することができました。それは、長坂真護(ながさかまご)さんという異色のアーティスト兼社会起業家の作品展です。
マゴさんと初めてお会いしたのは約半年前。マゴさんがロサンゼルスを訪問中の際、共通の知人よりご紹介いただいたのです。その後、これまでの波乱万丈な人生、抱かれる壮大な計画、そして溢れる才能から生まれる数々の作品に触れるたび、「これこそがサステナビリティの真髄だ」と胸を打たれました。
電子廃棄物から生まれる芸術
マゴさんは、ガーナにある巨大な電子廃棄物処理場「アグボグブロシー」に山積みになった電子ゴミ(e-waste)を素材にしたアート作品を制作しています。
彼の作品は、一見すると抽象画のようですが、よく見ると電子基板や配線が織り込まれ、そこから独特の力強さや混沌としたエネルギーが伝わってくるのです。長坂氏は、自身の作品を通じて大量消費社会への警鐘を鳴らし、環境問題や貧困問題への意識を高めようとしています。
アートを超えた社会貢献
アーティストとしての芸術性はむろんのこと、マゴさんの素晴らしさは、アート制作のその先にありました。
彼は現地の人々を雇用して、電子廃棄物のリサイクルやアート制作に関わる機会を提供しています。さらに、子どもたちへの教育支援も行って、貧困の連鎖を断ち切ろうとしているのです。
ゴミや廃材を使って世の中にインパクトを与えるアートを作り、それを大きなお金に変えて、そのお金でスラム街に学校や美術館を設立。「負」の遺産を「正」の価値に変えている彼の活動に、僕は強い感銘を受けました。
ガーナのゴミから生まれた資産を、ガーナに再投資して国を良くしている……。これこそ、サーキュラーエコノミーの最先端を行っている見本だと言えるでしょう。

サステナビリティの新境地
マゴさんの活動は、アートが持つ社会的な影響力と可能性を最大限に活かしています。環境問題、貧困問題、資源問題など、複合的な課題に一気に切り込んでいるんです。単に問題を指摘するだけでなく、実際に行動し、現場で問題解決に取り組んでいるところが素晴らしい!
僕は、マゴさんの作品と活動に触れて、サステナビリティの本質を改めて考えさせられました。持続可能な社会を作るためには、こういった創造的で実践的なアプローチが必要なんだと強く感じました。
皆さんも、機会があれば長坂真護さんの作品をぜひ見てみてください。きっと、新しい視点が得られると思います。