なぜ日本は人型ロボット開発で後れを取るのか?—技術力はあるのに参入しない理由

今日は前回のポストの続きとして、人型ロボット市場における日本企業の現状をご紹介していきます。

目次

世界の人型ロボット市場に日本企業がいない現実


前回もご紹介したForbes.comの記事には、ディアマンディスが特定した、人型ロボット分野で市場をリードする16社が掲載されています。


原記事:forbes.com 原文
日本語記事:未来学者が選出、世界の「人型ロボット」メーカー主要16社の内訳


テスラ:Optimus/米国
フィギュアAI: Figure 02/米国
Agility Robotics(アジリティ・ロボティクス):Digit/米国
ボストン・ダイナミクス:Atlas/米国
Unitree(ユニツリー):H1, G1/中国
1X Technologies (ワンエックス・テクノロジーズ):NEO/米国
Agibot (エージーアイボット):Yuanzheng A2/中国
Apptronik (アプトロニック):Apollo/米国
Beijing HRIC:Tiangong/中国
EngineAI(エンジンAI):SE01/中国
Engineered Arts(エンジニアード・アーツ):Ameca/英国
Fourier Intelligence (傅利葉智能):GR-2/中国
Kepler (ケプラー):Forerunner K2/中国
Robot Era (星動紀元):Star1/中国
Sanctuary AI (サクチュアリAI):Phoenix/カナダ
Xpeng(小鵬汽車):/中国
※ForbesJAPANより引用

上記からもわかるように、現在、人型ロボット市場はアメリカと中国が主導しています。しかし、この一覧に日本企業の名前は見当たりません


ホンダの『アシモ』やソフトバンクの『Pepper』など、日本企業はかつて世界的に注目されるロボットを開発していました。

しかし、ホンダは2018年にアシモの開発を終了、ソフトバンクもPepperの生産を縮小するなど、日本の企業は人型ロボット市場から徐々に撤退しつつあります。

なぜ日本企業は人型ロボット市場に参入しないのか?


この背景には、日本企業が得意とする分野と市場のニーズのズレがあると考えられます。

現在、日本が注力しているのは、介護ロボットや災害対応ロボットなど、特定の用途に特化したロボットであり、汎用的な人型ロボットの開発には消極的です。


また、人型ロボット開発には膨大な研究開発費がかかることや、日本国内市場のニーズの違いも影響しているでしょう。AIの進化やバッテリー技術の向上には大規模な投資が不可欠ですが、現在の日本企業は、巨額の投資を伴う未知の分野への参入に対して、慎重な姿勢をとり続けています。

次回は、日本企業がこの市場でどのような戦略をとるべきか、具体的な動向を掘り下げて考えていきます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

目次