この記事は、先に5回に渡ってお届けした「CES 2025参加レポシリーズ」の総括編です。前後半の2連記事でお届けします。
CES2025で感じた日米企業の現在地
CES 2025では、アメリカと日本の企業がそれぞれ異なるアプローチで存在感を示していました。
アメリカ企業は、AI技術やクラウドサービスといったソフトウェア領域で圧倒的な強さを見せています。NVIDIAのジェンセン・ファンCEOが基調講演で語ったように、テクノロジーは生成AIからさらに「エージェントAI」「ジェネリックAI」へと進化しており、この分野ではアメリカ企業が主導権を握っているのは確かです。
一方、日本企業は家電や自動車などのハードウェア領域で、引き続き伝統的な強みを発揮しています。
CESのメイン会場の一つであるLVCC Centralエリアでは、Sonyが独自開発の3DCG生成技術「Torchlight」や空間音響技術を展示し、クリエイターエコノミー支援の姿勢を明確にしました。
また、Panasonicは「Panasonic well」構想を打ち出し、ウェルネス分野への注力を大いにアピールしている印象です。
スタートアップが集まるEureka Parkのジャパンパビリオンも活気があり、各社が積極的に世界市場へ挑戦する姿が見られました。
ただ、韓国企業などのCESへの強い意気込みと比較すると、日本の全体的なプレゼンスはやや限定的に感じられたのが僕の正直な感想です。

自動車産業に見る日米の協力と競争
LVCC Westエリアでは、自動車関連の展示が大きな注目を集めました。日本企業では特にSuzukiとHondaが存在感を示していましたが、会場全体としては新興EVメーカーやソフトウェア定義型車両(SDV)のコンセプトが主流という印象を受けました。
特筆すべきは、AmazonがAWSを基盤として自動車産業におけるTier1サプライヤーとしての地位を確立しつつある点です。また、従来ITアウトソーシングを手掛けてきたWIPROのような企業も、Tier1サプライヤーを目指す動きを見せており、注目を集めました。
これは、自動車産業が従来の「すり合わせ型」から、ソフトウェアを中心とした「組み立て型」へと構造変化しつつあることを示唆しています。日本の自動車メーカーにとっては、この変化への対応が大きな挑戦となるでしょう。

後半へ続く
後半では、デジタルヘルス分野における日米協力の可能性や、「フライホイール効果」の視点から日米関係の未来について考察します。
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