僕が居住するのは、ロサンゼルスから少し南に下った、自然豊かなエリアです。ここでの生活は、時に僕たちを驚かせる出来事に満ちています。
今回は、「ここは野生の王国か!?」とでも言いたくなるような、野生動物とのエピソードをご紹介します。
ゴルフ場は動物たちと共有する場所?
僕の趣味はゴルフです。休日は、近隣のいろんなコースを回っています。カリフォルニアのゴルフ場は、総じて手入れの行き届いた美しい芝生が拡がっています。
ただ、そこは人間だけの場所ではありません。
プレー中に、優雅に草を食む鹿の親子に出会うなんてことは日常茶飯事。可愛らしいバンビが母親の後を追う姿は、心を和ませてくれます。

ただし、見かけるのが可愛らしい動物ばかりとは限りません。
遭遇率が高いのが、「コヨーテ」です。犬と狼の中間のような見た目の彼らは、基本的には人間を警戒しているので、襲われそうな危険を感じることは稀です。とは言え、野生動物がすぐそばにいる現実は、常に意識しておかなくてはなりません。
ちなみに、肉食獣の「ピューマ」が出没することもあります。僕も一度、ゴルフ場で見たことがあります。私が発見したのは遠距離でしたが、至近距離に現れたら、さすがに肝を冷やします。ピューマは人間を襲う可能性があるため、遭遇したらすぐにその場を離れるのが鉄則です。
街中に潜むハンター「コヨーテ」
ゴルフ場だけでなく、コヨーテは僕たちの住む街中にも姿を現します。写真に撮れるくらいの距離で遭遇することもあり、初めて見た時はさすがに驚きました。彼らは街に住むウサギなどを捕食して生息しており、生態系の一部としてこの地に根付いているのです。
ゴルフ場で害にあった経験はないものの、僕には一つ、心配なことがありました。それは、ペットへの危険です。特に小型犬は、コヨーテにとって格好の獲物と見なされることがあります。 実際に、僕の友人の何人かは、愛犬がコヨーテに襲われるという痛ましい経験をしています。「散歩中は絶対に目を離してはいけないよ」と、皆が口を揃えて注意を促すほど、それは身近な脅威なのです。

妻と愛犬を襲った、2メートル先の恐怖
そして先日、ついに我が家にもその危機が訪れました。
妻が愛犬の「クマ」(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルという犬種)と散歩中のことです。
妻がほんのわずかにスマートフォンの画面に気を取られ、ふと顔を上げたその時!わずか2メートル先に、一頭のコヨーテが静かに佇んでいたそうです。
血の気が引くような状況で、妻はとっさにクマを抱きかかえ、コヨーテに向かって必死に威嚇し、なんとか追い払うことに成功しました。
ペットの首がなくなっていた─、なんていう最悪の事態を耳にしたこともあるため、事なきを得て本当によかったと胸を撫で下ろしました。
この一件以来、我が家では「散歩中は絶対に油断しない」というルールが徹底されました。しかし、この話には驚きの後日談があります。

わが家の愛犬クマ、まさかの反応
妻に詳しく話を聞くと、面白いことがわかりました。愛犬のクマは、目の前に現れたコヨーテには、全くビビる様子がなかったというのです。それどころか、クマを守ろうと必死に威嚇する妻の剣幕の方に、心底怯えていたのだとか。
クマは、もともと猟犬の血を引く犬種です。しかし、その野生の本能はどこへやら。コヨーテを新しい「お友達」とでも思ったのでしょうか。緊迫した状況とは裏腹に、なんとものんきな反応だったと聞いて笑ってしまいました。
この出来事は、野生動物と共存するカリフォルニアの日常を象徴しています。美しい自然は、時に厳しい顔を見せるもの。愛犬との散歩も、気を引き締めて楽しまなければいけないなと、改めて感じたエピソードでした。

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