これまで4回にわたり、子どものスクリーンタイム問題から始まり、僕が選んだユニークな学校「サミュエリ・アカデミー」の魅力についてお話ししてきました。
最終回の今回は、この一連の経験を通して気づいた、僕自身の大きな問題について、正直に告白したいと思います。書きながら、恥ずかしさと情けなさが湧いてくるのを感じますが、同じ悩みを抱える親御さんたちのために、ありのままをお伝えします。
僕も「即時満足」の奴隷だった
子どもたちには、スマホから離れて物事の本質を学んでほしい。努力の末に喜びを得る「遅延満足(Delayed Gratification)」の大切さを知ってほしい。そう願い、学校まで変えた僕ですが、ふと気づくと、自分自身が最も「即時満足(Instant Gratification)」の奴隷になっていました。
寝る直前までスマホをいじり、朝起きて真っ先にニュースをチェック。食事中ですらテーブルの横にスマホを置き、子どものスポーツ観戦の合間にも仕事のメールを確認してしまう…。息子が試合で活躍した瞬間を、スマホの画面越しに見逃していたこともありました。
これでは、子どもに何を言っても説得力がありません。まさに「偽善者」です。ある日、息子から「お父さんもずっとスマホ見てるじゃん」と言われた時、返す言葉がありませんでした。
頭ではわかっているのに、やめられない
なぜ、こんなことになってしまうのか。それは、スマートフォンが私たちの脳の「報酬系」を巧みに刺激し、ドーパミンを放出させるからです。
通知が来るたびに、新しい情報に触れるたびに、脳は快感を覚えます。その結果、頭では「良くない」とわかっていても、無意識にスマホに手を伸ばしてしまうのです。まるで、ポケットの中に小さな依存物質が入っているような状態です。これはもう、現代病と言っても過言ではないでしょう。
実際、スマホ依存の脳への影響は、ギャンブル依存症のそれと似ているという研究結果もあります。僕たちは、自分が思っている以上に、このデバイスに支配されているのかもしれません。

まず、親が変わることから
子どもに変わってほしいと願うなら、まず親である僕自身が変わらなければならない。そう痛感しました。子どもに「スマホばかり見ないで!」と叱る前に、自分の行動を省みる必要があります。
子どもは親の言葉ではなく、親の行動を見て育ちます。どんなに立派なことを言っても、親自身がスマホに支配されている姿を見せていては、何も伝わりません。完璧にはできなくても、少しずつスマホとの距離を置く努力を見せることが大切です。
僕も、まずは「食事中は、家族全員スマホをテーブルに置かない」というルールを、自分にこそ徹底することから始めてみようと思います。さらに、寝室にはスマホを持ち込まない、子どもとの会話中は絶対に画面を見ないなど、小さな約束を一つずつ守っていくつもりです。
サミュエリ・アカデミーが教えてくれた「遅延満足」の価値。それは、子どもだけでなく、親である僕自身にこそ必要な学びでした。
この5回の連載が、皆さんのご家庭でも、子どもと、そして自分自身のスマホとの付き合い方について考える、一つのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。


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