前回のポストでは、日本製品をアメリカ市場で売りたいなら、長い歴史の中で育まれた日本の価値をアメリカ人に理解してもらう必要があることをお伝えしました。
アメリカ人にお金を払ってもらうためには、「商品価値」、「体験価値」、「ライフスタイル価値」、「コミュニティ価値」という4つの価値を顧客に理解してもらい、心を掴む必要があります。
前回のポストを読んで、「なんでそんなに難しく考えるのか」と思った人もいるかもしれません。もちろんこれには理由がありますので、今日はそれをお伝えしましょう。
目に見えない価値をどう伝えるか
日本が誇るモノ(財)やコト(サービス)には、無形の財と有形の財が入り混じっていると僕は思っています。この2つが融合することで、日本独特の文化を感じさせることができるのです。
特に無形文化は、昔から守り伝えられてきた伝統技術が集結しています。受け継がれている職人技そのものが文化財であることは明白ですが、目に見える形として残っていないものが多数あります。
その技がどのように生まれ、発展し、現在に至っているのかを僕たちはわかりやすく伝えていかなければなりません。
日本で売れても、アメリカでは売れないものがある
たとえば、日本を訪れたアメリカ人は以下のモノに興味を示し、購入します。
・高級な文房具
・包丁
・日本の道具 ― 箸や和食器など
・高級和菓子
・風呂敷や手ぬぐい
・焼酎やお酒
しかし、これらをアメリカで販売すると、なかなか売上が立たずに苦労することがよくあります。日本で見て「素晴らしい」と感じても、アメリカで同じように価値を感じるとは限らないのです。
もちろん、商品そのものに問題はありません。要は「売り方」を変えなければならないということです。
価値に触れる“体験”が必要
日本製品を紹介する展示会はたくさんあります。しかし、日本製品をアメリカで根付かせ、ビジネスとして成立させるなら、さらなる一手が必要です。
商品をただ見せるのではなく、実際に触れ、体験してもらうようにします。さらに言えば、継続的に体験してもらう機会をつくり、その価値についての情報を発信し続けて、コミュニティへとつなげていかなければなりません。
特に意識するのが、「ライフスタイル価値」と「コミュニティ価値」の2つです。
・ライフスタイル価値:無形、有形の価値をストーリーとしてどう発信していくか?
・コミュニティ価値:1万人のLikeよりも100人のLoveと密接な関係を持ち、ブランドのコアファンベースをつくる
そのように伝えることで、日本が誇る無形・有形の価値を含んだその商品自体の価値が顧客に伝わり、理解され、ようやく売上につながっていきます。
僕が手がける「Shikohin」では、この点を重視し、戦略を練っています。前述した「商品価値」「体験価値」「ライフスタイル価値」「コミュニティ価値」という4つの観点から、顧客心理を掴むプラットフォームを整備し、自社および日本ブランドの海外展開に取り組んでいるわけです。
この仕組みを取り入れたからこそ、「Shikohin」はアメリカで受け入れてもらえたと僕は考えています。