治療費2000万円の衝撃!アメリカ医療保険の知られざる実態と忍び寄る「BBB法案」の影

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その保険で、本当にあなたの命を守れますか?

──アメリカで病気になったら破産する。

一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、その実態は人々の想像をはるかに超えるものです。

この記事では、アメリカの医療保険制度が抱える驚くべき現実と、今まさに低所得者層のセーフティネットを揺るがそうとしている「BBB(Big Beautiful Bill)法案」の影に迫ります。

これは、対岸の火事ではなく、現代社会が抱える「命の格差」の問題そのものです。

保険加入実態の背景にある深刻な問題

ガンと診断された人の具体例をお話しましょう。PETスキャンやMRIといった検査、その後の手術、そして一晩の入院。これらにかかった費用の請求総額は、なんと13万ドル(約2000万円)にも上りました。この金額には、抗がん剤治療や放射線治療といった継続的な治療費は含まれていません。

ただし、適切な保険に入っていれば、自己負担は6500ドル(約100万円)程度に抑えられます。けれど、医療保険に加入していなければ、莫大な医療費の全額を自己負担しなければならないのです。

アメリカでは、医療、歯科、眼科の保険はそれぞれ別々に加入するのが一般的で、手厚い保障を得るためには月々数十万円もの保険料を支払う家庭も少なくありません。

つまり、「適切な良い保険」に加入できるかどうかは、個人の収入や雇用形態に大きく左右されるわけです。ここに、アメリカ社会の根深い格差問題が見えてきます。

命のセーフティネット「メディケイド」と「メディケア」

もちろん、アメリカにも公的なセーフティネットは存在します。それが、低所得者や障害者向けの「メディケイド(Medicaid)」と、主に65歳以上の高齢者向けの「メディケア(Medicare)」です。

─メディケイド

いわゆる「オバマケア」によって拡充され、多くの低所得者層が無料または非常に低額で医療を受けられるようになりました。まさに「最後の砦」とも言える制度です。

─メディケア

高齢者の医療を支える重要な柱となっています。

これらの公的保険があるからこそ、多くの人々が安心して医療を受けることができていました。しかし、その根幹を揺るがす法案が可決されたのです。

忍び寄る「BBB法案」の影

トランプ政権下で可決された「BBB法案」。この法案は、大幅な減税を謳う一方で、その財源を確保するために、ある部分に大ナタを振るいました。それが、低所得者層の命綱である「メディケイド」です。

この法案は、アメリカの医療制度に、そして何百万人もの人々の生活に、どのような変化をもたらすのでしょうか?なぜ、このような法案が支持され、可決されてしまったのでしょうか?

次の記事では、BBB法案が持つ「真実」を深掘りし、誰が、どのようにして、この制度変更の犠牲になろうとしているのかを詳しく解説していきます。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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