「この事業には、世界を変えるポテンシャルがある!」
起業を目指す誰もが、そんな熱い情熱を胸に事業計画書を書き上げます。しかし、その情熱が空回りし、投資家や金融機関から「NO」を突きつけられるケースは後を絶ちません。 一体、なぜなのでしょうか?
結論から言うと、その計画には「評価する側」の視点が致命的に欠けているからです。自分のアイデアに夢中になるあまり、客観的な評価基準を満たせていない。これが、多くの挑戦者がつまずく最初の、そして最大の壁なのです。
成功と失敗の分かれ目は「情熱物語」の中にはない
僕はカリフォルニアで起業し、多くのスタートアップの資金調達を支援してきました。その経験から言えることは、「成功と失敗を分けるのは、アイデアの斬新さや情熱の量だけではない」ということです。
むしろ、「投資家や稟議を承認する人が、どういうモノサシであなたの事業を測るのか」を理解しているかどうかが決定的な差を生むと言えます。
彼らは、あなたの情熱物語を聞きたいわけではありません。彼らが見ているのは、その事業が市場で勝ち抜き、確実にリターンを生み出せるか否かというシビアな事実です。
つまり、作り手である「自分視点」の計画書と、評価者である「相手視点」の計画書には、天と地ほどの差があるわけです。このギャップに気づかない限り、何度提案しても結果は同じ。時間と情熱を無駄にしてしまいます。
「自分ごと」から「他人ごと」へ視点を切り替える勇気
多くの起業家は、自分のプロダクトやサービスが「いかに素晴らしいか」を語ることに終始してしまいます。
しかし、評価者が知りたいのは、実はそこではありません。
「なぜ、今、この事業をやる必要があるのか?」
「どうやって競合に勝ち、利益を出すのか?」
といった、より構造的な問いなのです。
いったん自分の事業を「他人ごと」として、第三者の冷めた目で分析してみてください。きっと、自分の計画の弱点や、説明不足な点が見えてくるはず。
この視点の切り替えこそが、計画を劇的に進化させる第一歩なのです。 最初は難しい作業かもしれませんが、この客観性なくして、他人から大切なお金を集めることはできません。

「最終ゴール」から逆算する思考法
事業計画は、目の前のタスクを積み上げていくものではありません。成功へのロードマップです。つまり、「最終的にどう評価されたいのか」というゴールから逆算して、すべての要素を設計していく必要があります。
例えば、「市場の成長性が高く、競合優位性も確立できる」と評価されたいのであれば、計画書の冒頭からその根拠を論理的に示さなければなりません。
最終構想を理解しているのと、ただ目の前の作業をこなしているのとでは、出来上がる計画書の説得力が全く違います。この「逆算」という思考こそ、評価者の心を動かす計画書作りの核となるのです。

情熱を「伝わるロジック」に変換する技術
誤解しないでほしいのですが、情熱が不要だと言っているわけではありません。情熱は、事業を推進する上で最も重要なエンジンのひとつです。しかし、その情熱を、誰もが理解できる「客観的なロジック」に変換する技術がなければ、それはただの自己満足で終わってしまいます。
では、どうすればこの「客観的ロジック」を効率的に、そして実践的に身につけることができるのでしょうか? 実は今、そのための画期的な方法として「AIとの対話」が注目されています。
次回の記事では、AIを単なる作業ツールではなく、あなたの思考を深める最強の「壁打ち相手」として活用する方法について、僕が開発している新しいゲームを例に詳しく解説します。


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