CES(Consumer Electronics Show)は、ラスベガスで毎年1月に開催される、世界中のテクノロジー関係者が注目する一大イベントです。
僕はかれこれ15年、毎年欠かさず参加しています。せっかく15年間も通い続けているのですから、現場で見て感じた詳細なレポートをシリーズ記事としてお届けすることにしました。
CESの概要
1967年にニューヨークで家電ショーとしてスタートしたCESは、時代と共にスケールアップ!今や家電の枠を超えて、AI、モビリティ、スマートシティ、デジタルヘルス、サステナビリティなどの最先端技術が集結する、世界最大級のイノベーションフェスティバルへと発展しました。
世界中から大手企業、、開発者、メディア、投資家などが一堂に会し、最新技術の発表やデモンストレーション、ビジネスマッチング、そして未来のトレンドに関する議論が活発に行われます。まさにテクノロジー業界のカンファレンスのような存在です。
CES 2025─熱気を取り戻したラスベガス
パンデミックの影響を受けた時期と比較すると、今年のCESは参加者数が大幅に回復し、活気が戻ってきたことを肌で感じました。
主催者であるCTAの発表によると、CES2025の総参加者数は142,465人に達し、昨年の138,739人からさらに増加。そのうち約40%にあたる57,401人が海外からの参加者だったとのこと。このデータから、CESがグローバルなイベントであることを改めて感じます。
出展企業は160以上の国や地域から、4,500社以上も集結。米国の存在感が大きいのはもちろん、中国や韓国といった国々もかなり台頭しているというのが僕の肌感です。
参加企業の中には、約1,400社ものスタートアップ企業が含まれていて、専用エリア「ユーレカ・パーク(Eureka Park)」で熱心なプレゼンテーションを繰り広げていました。
また、6,582人のメディア関係者が世界中から訪れ、会場の熱気や最新情報を発信。開催期間中には300以上のカンファレンスセッションが開催され、1,200人以上の講演者が登壇するなど、情報交換の場としても非常に充実した内容でした。

CES 2025の主要テーマと見どころ
長年CESを定点観測していると、その年ごとのトレンドや注力分野の変化が見えてきます。今年のCES 2025で特に注目を集めたテーマは、以下の通りです。
AIの進化と社会実装
もはやCESのあらゆる展示において、不可欠なテーマとなったAI。今年は特に、エージェントAIに関する議論が活況だったと感じます。
日常生活やビジネスシーンで、「AIにがいかに役立つか」を示す具体的なユースケース。そしてAIの進化に伴うエネルギー問題といった側面にも光が当てられました。
ウェルネス(Wellness)
かつてないほど盛り上がってるなあと感じたのは、健康、幸福、QOL(生活の質)向上に貢献するテクノロジーです。ウェアラブルデバイスによる生体データ計測、AIを活用した健康管理ソリューション、メンタルヘルスケア技術など、デジタルヘルス分野の進化が際立っていました。
サステナビリティ(持続可能性)
AIのエネルギー消費問題にも関連しますが、環境負荷低減や資源効率の向上は、あらゆる産業にとって不可欠な要素となっています。省エネルギー技術、再生可能エネルギー活用、循環型経済モデルなどが、様々なブースで提案されていました。
モビリティ(Mobility)の変革
電気自動車(EV)シフトはもちろん、「SDV(Software Defined Vehicle)」、つまりソフトウェアによって機能が定義・更新されるクルマという概念が完全に定着。自動運転技術、コネクテッドカーサービス、そして「働くクルマ」の電動化・自動化も大きな注目分野でした。
スマートシティとホーム
都市機能の最適化や、より快適で便利な生活空間を実現するための技術。IoTデバイス、エネルギー管理システム、ロボティクスなどが連携し、未来の暮らしを提示していました。

CES 2025シリーズ記事、次回以降の投稿予定
シリーズ全5回のうち、今回がその第1回目です。本記事では、CESの概要と今年の注目ポイントをご紹介しました。
続く、第2回と3回では、主要会場であるLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)やVenetian Expo、Eureka Parkの各エリアで見られた具体的な展示内容やブースの様子を順次レポートします。
さらに、第4回では、今年の大きなトレンドであったウェルネス分野を深掘りし、その背景やビジネスチャンスについて考察します。
そして、シリーズ最終の第5回は、CES 2025の現場レポートの総括です。15年間の定点観測から見えてきたテクノロジーの未来像と、日本企業にとっての示唆を僕なりに考察したいと考えています。
全5回に渡るシリーズ記事ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
