スタートアップの成功率を大きく左右する可能性を秘めた新しい経営スタイルが、いまカリフォルニアで注目を集めています。
その名も「創業者モード」と言い、Yコンビネーターの共同創業者ポール・グレアム氏が提唱した概念です。従来の経営スタイルとは一線を画す、新規事業の立ち上げに有効なアプローチとして、シリコンバレーを中心に広がりを見せています。
創業者モードと従来型のマネージャーモードとの違い
「創業者モード」の対極にあるのが、従来型の経営スタイル「マネージャーモード」です。以下に、両者の特徴をまとめてみました。
創業者モード
「創業者モード」は、創業者自らが直接的に事業に関与し、意思決定を行います。この直接的な関与が、スピーディーな意思決定と革新的なアイデアの実現を可能にするのです。
創業者モードの特徴
- 創業者が直接関与して、意思決定も行う
- イノベーション重視で、状況に応じ柔軟に対応
→ 結果的にアイデア実現までのスピードが速い
(創業者モードの特徴)
マネージャーモード(従来の経営スタイル)
「マネージャーモード」は、経営者セミナーやビジネススクールなどで教えられる従来型の経営理論です。リーダーが優秀な人材を採用し、権限を委任します。リーダー自身は、下位レベルの業務に直接関与しないというスタイルです。
マネージャーモードの特徴
- リーダーは部下に権限を委任し、直接的な意思決定は行わない
- 従来の経営理論に基づき、定型的なプロセスで対応
→ 結果的にアイデア実現までに時間を要す
(マネージャーモードの特徴)
日本企業における創業者モードの可能性
僕は、創業者として『Shikohin』を経営する傍ら、新規事業育成ファンドで各社のCEOにアドバイスを行う立場にもあります。
この経験から、日本企業においても「創業者モード」の重要性は今後さらに高まっていくと確信しています。
ただし、日本に根付く企業文化や集団意思決定の傾向が、この新しい経営スタイルの導入スピードを緩やかにする可能性はじゅうぶんに考えられるでしょう。
次回ポストの予告
北米西海岸を中心に、創業者モードへの注目は今後さらに高まると予想されます。
次回は、創業者モードの事例を紹介するとともに、このスタイルのメリットとデメリットについて詳しく解説する予定です。スタートアップ経営に関心をお持ちの方は、次回もぜひご覧ください。