創業者モードの実践例に学ぶ成功の法則│新たなる経営スタイル(Vol.2)

前ポストに続き、「創業者モード」について解説します。今回は、実際の成功事例を通じて、この革新的な経営スタイルの効果を検証していきます。

目次

世界の成功事例から見る創業者モードの威力

まずは、創業者モードを実践して成功を収めた起業家たちの事例を見ていきましょう。

代表的なところでは、Appleのスティーブ・ジョブズとAirbnbのブライアン・チェスキーが挙げられます。

ジョブズ氏は製品開発から販売戦略まで深く関与し、“Think Different”という革新的な企業文化を築き上げました。

特筆すべきは、彼が「100人の重要な社員」と年次合宿を行い、直接的なコミュニケーションを重視していたことです。この取り組みにより、組織の階層を超えた迅速な意思決定と革新的なアイデアの実現が可能となりました。

一方、チェスキー氏は顧客体験を最重視し、自らホストとして宿泊施設を提供するなど、現場への直接的な関与を続けています。

彼は一度マネージャーモードに移行しようとしましたが、それが会社の成長を鈍化させる要因となることに気づき、再び創業者モードに回帰しました。この決断により、Airbnbは急速な成長を取り戻すことができたのです。

日本企業における創業者モードの実践

僕が関わった日本のテクノロジースタートアップでは、創業者が顧客との直接対話を重視し、製品開発の方向性を柔軟に調整しました。その結果、わずか2年で業界をリードする製品の開発に成功。この事例は、日本企業においても創業者モードが有効であることを示しています。

特に注目すべきは、この企業が従来の日本的な意思決定プロセスを大きく変革したことです。稟議制度による段階的な承認プロセスを廃止し、創業者を中心とした迅速な意思決定システムを構築しました。これにより、市場の変化に素早く対応することが可能となったのです。

創業者モードがもたらす具体的なメリット

意思決定の迅速化

従来の稟議制度では、物事が決まるのに何週間も要するのが普通でした。ところが、創業者モードの場合は、創業者次第で、それこそ即日にでも意思の決定が可能です。

実際のデータによると、創業者モードを採用している企業の意思決定スピードは、従来型の企業と比べて平均で75%も速いことが分かっています。

市場適応力の向上

顧客ニーズや競合の動向を察知して、素早く対策することができます。創業者が直接市場と向き合うことで、フィルターのかかっていない生の情報を得ることができ、より的確な判断が可能になるのです。

ビジョンの明確な伝達と組織文化の統一

価値観の共有によってチームワークが強化され、社員の帰属意識が高まります。その結果、生産性の向上と離職率の低下にもつながります。

次回は「創業者モードの課題を探る」

次回は、創業者モードを実践する上での課題と、その具体的な解決策について詳しく解説します。

創業者モードの導入をご検討の方だけでなく、すでに実践されている方、いずれにとっても参考になる内容をお届けしますのでご期待ください。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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