今回の旅の前半に滞在したのは、エクアドルの首都キト。
アンデス山脈の標高約2,850mに位置するこの街は、スペイン植民地時代の美しいコロニアル建築が立ち並び、旧市街は世界遺産にも登録されています。
数字で見てもピンと来ないかも知れませんが、この標高はなかなかのものです。僕は高山病になりやすい体質なので、事前に医者に薬を処方してもらい、万全の対策で臨みました。皆さんもキトを訪れる際には、高山病対策をお忘れなく!

「緯度0度」に建つ博物館
キト滞在中、特に印象的だったのが、「インティニャン博物館(Museo Intiñan)」です。この博物館、なんと「緯度0度0分0秒」の赤道直下に建てられているんですよ。
博物館の敷地内の地面には、赤道を示す赤い線が引かれています。ガイドさんの説明を受けながら、北半球と南半球を何度も行ったり来たりしました。片足は北半球、もう片足は南半球、という誰もがやるお決まりのポーズの写真ももちろん撮りました(笑)。

経度においても「0度」を示すポイントがあり、緯度0度とクロスする地点は、まさに地球の「へそ」と言える特別な場所なんです。

驚きの連続の体験
そして、この博物館では、赤道直下ならではの様々な科学実験が楽しめます。一番面白かったのが、水の渦の実験です!
皆さんは、洗面台やバスタブの水を抜くとき、渦がどちら巻きにできるか意識したことはありますか?実は、地球の自転の影響(コリオリの力)で、北半球では反時計回り、南半球では時計回りに渦ができると言われているんです。
博物館では、まず移動式のシンクを赤道線の北側に置き、水を溜めて栓を抜きます。すると、水は見事に反時計回りの渦を描きながら流れていきました。「おおー!」と歓声が上がります。
次に、シンクを赤道線の南側に移動させて同じ実験をすると、今度は期待通りに時計回りの渦が!これには、さらに大きな歓声が上がったのは言うまでもありません。
そして、いよいよシンクを赤道線の真上に設置。水を溜めて栓を抜くと……水は、渦を巻かずに、まっすぐ下に吸い込まれていくではありませんか!これにはもう、感動と興奮で鳥肌が立ちました。
教科書でしか知らなかった地球の物理現象を、目の前で、しかもこんなに分かりやすく体験できるなんて!息子も目を丸くして見入っていました。
この他にも、赤道上では釘の頭に卵を立てやすい、とか、目を閉じて赤道線上をまっすぐ歩くのが難しい、といった実験も試せます。
驚くべきは、古代の先住民たちは、計器などない時代から、この場所が特別な「0度」地点であることを理解していたということ。
太陽の動きを観察し、影を利用した日時計なども作っていたそうです。その知恵と観察眼には、ただただ脱帽するばかり。
もしエクアドルを訪れる機会があれば、ぜひインティニャン博物館で「世界の真ん中」を体感してみてください!

宝物のような旅の思い出
キトは、美しい世界遺産の街並みだけでなく、ユニークで知的好奇心をくすぐられる体験ができる素晴らしい場所でした。
ガラパゴスへの玄関口としての役割だけでなく、キト自体を目的に訪れる価値も十分にあると感じたほどです。
ガラパゴスの大自然と、キトの不思議体験。この旅は、僕たち家族にとって、一生忘れられない宝物のような時間となりました。

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