アメリカのニュースを見ていると、「ICE(アイス)」という言葉をよく目にします。
「氷」のことじゃないですよ。「ICE」は、今のアメリカ、特にトランプ政権を理解する上で絶対に欠かせないキーワードなんです。
今回は、「ICE」とは一体何者なのか、そしてなぜ今、これほどまでに注目されているのか、その実態に迫ってみたいと思います。
忍び寄る影?アメリカで話題の「ICE」とは一体何者なのか
まず、ICEの正式名称から。「U.S. Immigration and Customs Enforcement」。
日本語に訳すと「米国移民・関税執行局」となります。なんだか難しそうですが、主な仕事はアメリカ国内の移民法を執行し、不法滞在者を取り締まること。つまり、アメリカ版の移民警察のような組織です。
このICEがなぜ今、これほどまでに力を増しているのか。その答えは、トランプ大統領の選挙公約にあります。
「不法移民から国を守る!」
「国境に壁を!」
という彼のスローガンを覚えている方も多いでしょう。
ICEは、まさにその公約を実現するための”実働部隊”という位置づけ。トランプ大統領にとって、ICEの活動を強化することは、支持者たちに「約束を守っているぞ!」とアピールするための最高のパフォーマンスになるわけです。
トランプ政権がICEに注ぐ異常なまでのエネルギー
トランプ大統領の本気度は、ICEに割く予算を見れば一目瞭然です。
トランプ政権は「One Big Beautiful Bill」という、いかにも彼らしい名前の法案を通して、ICEの予算を爆発的に増やしました。元は約100億ドル(約1.4兆円)だった予算が、2029年までになんと1000億ドル(約14.5兆円)を超える規模にまで拡大する計画なんです。10倍ですよ、10倍!
この莫大な資金は何に使われるのか?計画では、新たに1万人の捜査官を採用し、10万床もの拘束用ベッドを追加建設するなど、組織の徹底的な強化が図られています。
さらに驚くべきは、その採用条件です。新たに捜査官になる人には、なんと5万ドル(約750万円)のサイニングボーナスが支払われ、さらには学生ローンの返済まで支援するという破格の待遇。
国がこれだけのエネルギーとお金を注ぎ込んでまで、ICEを大きくしようとしている。その事実に、僕は何とも言えない不気味さを感じてしまいます。

不法移民だけじゃない?ICEの捜査対象はどこまで広がるのか
「でも、これは不法移民を取り締まる話でしょ?自分には関係ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、最近のICEの動きを見ていると事態はもっと深刻な気がします。なぜなら、その捜査の網は、もはや不法移民だけにとどまらない可能性が出てきているからです。
同局は「犯罪歴の有無にかかわらず、不法移民の逮捕を進める」と、より攻撃的な姿勢を鮮明にしています。実際に、2025年前半には北カリフォルニアでの逮捕者数が倍増し、その多くは犯罪歴のない人々でした。もはや「無差別」とも言える取り締まり方です。

僕たちの未来にも関わるICE強化が示す世界の潮流
ICEの強化は、単なるアメリカ国内の問題ではありません。これは、世界中で広がる「自国第一主義」や「排他主義」という大きな流れの象徴です。日本でも「日本ファースト」を掲げる政党が議席を伸ばすなど、この動きは決して他人事ではありません。
安全や秩序を守るという名目のもとで、誰かを排除する動きが強まっていく。その先に待っているのは、本当に僕たちが望む社会なのでしょうか。ICEの動向を追いかけることは、僕たちの未来を考える上でも、非常に重要な意味を持っているのです。
次回の記事では、さらに過激化するICEの活動の具体的な実態と、その恐怖のニックネームを持つ収容所の話。そして、ついに日本人にも及んだ摘発劇について、詳しく掘り下げていきたいと思います。

