はじめに……
僕はアメリカで、3人の子どもを育てる父親です。そんな僕が、最近強い危機感を覚えているのが、子どもたちの「スクリーンタイム」問題。
食事中でも、リビングでくつろいでいる時でも、子どもたちの視線は常にスマートフォンの画面に釘付けです。話しかけても生返事。家族で過ごす時間のはずなのに、それぞれが自分の画面世界に没頭している光景を目にするたび、心が痛みます。
「このままではいけない!」
そう感じている親御さんは、きっと僕だけではないはずです。

IT界の巨匠たちが鳴らす警鐘
実は、スマートフォンやタブレットを生み出した張本人とも言える、シリコンバレーの天才たちこそが、わが子のスクリーンタイムに最も厳しいという事実をご存知でしょうか。
例えば、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツや、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ。彼らは巨万の富を築き、世界を変えましたが、自分の子どもたちにはデジタルデバイスとの接触を厳しく制限していたと言います。
ビル・ゲイツは、子どもたちが14歳になるまでスマートフォンを持たせなかったそうです。また、スティーブ・ジョブズは、iPadを自宅で子どもたちに使わせることを制限し、家族での食事の時間を何よりも大切にしていたと報じられています。
彼らは、テクノロジーがもたらす便利さの裏側にある「危険性」を誰よりも理解していたのかもしれません。
スマホが奪う「人と人との繋がり」
彼らが恐れた危険性とは何でしょうか。それは、人と人とのリアルな繋がりの希薄化です。スマートフォンに夢中になるあまり、家族との対話が減り、友達との直接的なコミュニケーションから得られるはずの知恵や経験を失ってしまうことへの懸念と言えるでしょう。
アップルの現CEOであるティム・クックですら、「スマホを子どもに与えるのは、なるべく遅い方がいい」と語っています。テクノロジーの最前線にいる人々が、そのテクノロジーから我が子を遠ざけようとしている。この皮肉な事実に、僕たちはもっと耳を傾けるべきではないでしょうか。
さらに、最近の研究では、過度なスクリーンタイムが子どもの集中力や創造性、さらには睡眠の質にまで悪影響を及ぼすことが明らかになってきています。画面から発せられるブルーライトが脳の発達段階にある子どもたちに与える影響は、私たち大人が想像する以上に深刻なのかもしれません。

僕たちが今、向き合うべき課題
子どもたちの未来を考えたとき、スマホとの付き合い方は避けて通れない大きな課題です。僕自身も、この問題に正面から向き合うべく、ある大きな決断をしました。それは、子どもの「教育環境」を根本から見直すことでした。
次回は、僕がアメリカの多様な学校制度の中で、どのような選択をしたのか。そして、なぜその決断に至ったのかについて、詳しくお話ししたいと思います。(「子育て論」のシリーズ全5記事としてお届け予定)


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