前回は、子供たちのスクリーンタイム問題と、IT界の巨匠たちの子育て事情についてお話ししました。
この問題意識から、僕は14歳の息子のために、これまでとは違う教育環境を探し始めたのです。単にスマホから遠ざけるだけでなく、子供が本当に夢中になれる何かに出会える場所を見つけたい。そんな思いで、今回はその学校選びの話をします。
公立だけじゃない!アメリカの学校の選択肢
アメリカの学校制度は、日本よりも選択肢が多様です。一般的な公立学校(Public School)や私立学校(Private School)の他に、特色ある教育を行う2つの選択肢があります。
チャータースクール(Charter School)
公立でありながら、独立した非営利団体などが運営するため、教育方針の自由度が高い学校。従来の公立校の枠にとらわれない、革新的なカリキュラムや教育手法を取り入れることができます。
マグネットスクール(Magnet School)
こちらも公立ですが、科学技術や芸術など、特定の専門分野に特化した教育を行う学校。才能を伸ばしたい子供たちにとって、理想的な環境が整っています。
これらの学校は、学区に縛られず応募できることが多いですが、人気校は抽選になることも珍しくありません。僕も息子のために、いくつもの学校に応募書類を送り、祈るような気持ちで抽選結果を待った日々を今でも覚えています。
「良い学区」が抱える光と影
一般的に、教育水準の高い「良い学区」に住むことが、子供のためになると考えられています。しかし、そこには光と影があるのもまた事実です。良い学区は不動産価格が高騰し、誰もが住めるわけではありません。
さらに、裕福な家庭が多い環境では、子供たちが過度な競争圧力にさらされることがあります。名門大学への進学を目指すあまり、子供たちがプレッシャーから勉強に集中するための「スタディドラッグ」(本来はADHDなどの治療薬)に手を出すといった、日本では考えられないような問題が起こることもあるのです。
また、経済格差が見えにくい環境で育つことで、多様な価値観や社会の現実に触れる機会が限られてしまうという側面もあります。良い環境だからといって、必ずしも子供にとって最良とは限らないと感じました。

僕が「遠くの学校」に惹かれた理由
そんな中、僕の選択肢に上がったのが、抽選で運良く入学許可を得た2つの学校でした。
一つは、自宅から車で5分のエリート校「レガシー・マグネット・アカデミー」。学業成績は州内トップクラスで、大学進学実績も申し分ありません。
もう一つは、車で30分近くかかる「サミュエリ・アカデミー」というチャータースクールです。
どちらも素晴らしい学校でしたが、僕の心は後者に強く惹かれました。なぜ、わざわざ遠い学校を選んだのか?そこには、単なる学力だけでは測れない、深い魅力があったのです。
毎朝の30分の通学時間は、親子で会話する貴重な時間になるかもしれない。そんな期待もありました。
次回は、僕が息子を通わせることに決めた「サミュエリ・アカデミー」の、教育理念や社会貢献の姿勢について、詳しくご紹介します。



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