「まさか、こんなことが……」
2025年1月7日。ロサンゼルスを襲った大規模な山火事は、僕の友人たちを含む多くの人々の生活を一変させました。僕の親しい友人5人が家を失い、そのうちの一人は海外旅行先で災害の一報を受けたのです。
慌てて自宅へ駆け戻った彼の目に映ったのは、何もかも焼き尽くされて跡形もない自宅でした。これまで培ってきた財産も、家も、車も、そして写真を含む大切な思い出も、その全てが失われてしまったのです。
彼の絶望感はいかばかりか。悲惨な状況を想像するだけで、僕は胸が締め付けられて涙が止まりませんでした。
想像を絶する被害規模
今回の被災面積は、マンハッタンの約3倍。日本で言えば、東京23区の4分の1に相当する広範囲を焼き尽くしたことになります。
この記事を書いている1月15日現在も消火活動は続いていますが、完全に収束する目処は立っていません。焦土と化した戦地のような光景が、日に日に広がっているのが現状です。
今回の山火事による被害額は、推定23兆円超えと言われています。この未曽有の災害の背景には、南カリフォルニア特有の強風「サンタアナ・ウィンド(Santa Ana winds)」の発生がありました。乾燥した強風が火災を拡大させてしまったのです。
明らかになった行政の怠慢と保険会社の対応、そして被災者たちの現状
サンタアナ・ウィンドの危険性は、以前から指摘されていました。にも関わらず、州知事や市長が十分な対策を講じていなかったことが問題視されています。
中でも重大なのは、ロサンゼルス市長が昨年度の消防署の予算を25億円も削減していた事実です。その結果、消防活動が十分に行き届かず、被害をこれほどまでに拡大させてしまったと言われています。
また、このことを察知した保険会社は、昨年の春頃に火災保険の適用範囲を狭めるという措置を講じていました。そのせいで、今回の火事の被災者の多くが、保険金を受け取れない状況に陥っているのです。
こうしてみると、今回の山火事は自然災害であると同時に、「人災」とも言えるのではないでしょうか。
幸せな家族旅行から一転。スーツケースひとつ以外のすべてを失った僕の友人をはじめ、驚くほど多くの被災者が途方に暮れているのが実情です。
去る1月16日、連邦緊急事態管理局(FEMA)が被災者支援のため、現地入りし、仮設住宅の設置や生活物資の配布を開始しました。けれど、復興には気が遠くなるほどの長い道のりが残されていることは、誰もが容易に予測できます。
歴史的な大災害から得た教訓
今回の火事で被害の大きかったパシフィック・パリセーズ、イートン地区、ハースト地区、ウッドリー地区などは、いずれもいわゆる高級住宅地です。焼け落ちた家の中には、誰もが知る富裕層の瀟洒な豪邸もありました。
大自然の脅威の前では、どんなに裕福な人でも無力なのだと痛感せざるを得ません。そして同時に、防災意識を高め、適切な保険を備え、何より地域生活者の安心と安全を最優先に考える、賢明かつ行動力のある政治家選びがいかに重要かを学びました。
ロサンゼルス市は今回の山火事を教訓に、消防署への予算を増額する方針を固めたとのことです。しかし、具体的な防災対策については、まだ議論の余地があると言えます。
支援の輪を広げよう
大切な友人たちだけでなく、僕の会社の社員の何人かも家を焼失しました。身近な被災者に向けて僕ができることは何か。毎日のように考えました。
まずは、救急・消防・警察などの緊急対応者への物資提供や信頼できる団体への寄付など、僕が対応できる範囲から取り組んでいます。加えて、政府や保険会社の今後の対応をしっかり注視していくつもりです。
この記事が、ほんの少しでも被災者の方々の力となり、復興への道筋を照らす一助となれば幸いです。そして、被災者支援の輪が広がることを切に願っています。
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