前回の記事では、全米最大級の食の見本市「Natural Products Expo West 2025」の概要や現地の熱気についてレポートしました。
今回は、「2025年 食の最新トレンド」を解説していきます。まずは、特に目立っていた3つのトレンド
- 高タンパク質
- 機能性食品
- 腸活
について見ていきましょう。
このトレンドの根底には、やはり現代人の健康意識の高まりがあります。単に病気を予防するだけでなく、日々のパフォーマンス向上やQOL(生活の質)向上を目指し、食にその役割を求める人が増えている証です。

トレンド1─多様化する「高タンパク質」製品
昨年も大きなトレンドでしたが、「高タンパク質(ハイプロテイン)」の勢いは2025年も全く衰えていません。むしろ、「プロテインリッチ」であることが、健康志向食品のスタンダードになりつつある印象です。
アスリートだけでなく、一般の生活者が日常的にタンパク質摂取を意識するようになり、市場もそれに応えています。
*スナック類
チップス、バー、クッキーなど、手軽にタンパク質を補給できる製品が多数。
*主食代替
プロテイン入りのパンケーキミックスやパスタなどは、もはや珍しくありません。
*飲料
植物性ミルクはもちろん、コーヒーやスムージー、さらにはソーダに至るまで、プロテインが添加されたものが登場。
単に量を添加するだけでなく、植物性プロテイン(エンドウ豆、米、ナッツ類など)の活用や、味や食感の向上にも各社が注力しており、より美味しく、より手軽にタンパク質を摂取できる選択肢が広がっています。

トレンド2─「機能性」が鍵!アダプトゲンや特化型栄養素への注目
次に、特定の健康効果を期待して機能性成分を配合した「機能性食品・飲料」のトレンドです。これも昨年からの継続ですが、より具体的な成分への注目度が高まっているように感じました。
特にキーワードとなっていたのが「アダプトゲン」です。アダプトゲンとは、ストレスへの抵抗力を高める働きが期待される天然ハーブ類(例:アシュワガンダ、霊芝、ロディオラなど)のこと。 ストレス社会を反映してか、リラックス効果やメンタルバランスをサポートする製品に多く用いられていました。
他にも目を引いたものがあったので、以下にあげておきます。
*認知機能サポート
ヤマブシタケ(ライオンズメーン)、冬虫夏草(コーディセプス)や特定の脂肪酸(オメガ3など)。
*エネルギー向上
マカや特定のビタミンB群。
*睡眠サポート
カモミールやバレリアンなどのハーブ。
と、ここまで紹介したように、具体的な悩みや目的に応じた機能性成分を配合した製品が目立ちます。昨年注目したキノコ類(霊芝など)も、アダプトゲンとして、あるいは他の機能性素材として引き続き活用されていました。
消費者は、自分のライフスタイルや健康課題に合わせて、よりパーソナルな効果を食品に求めていると言えるでしょう。

トレンド3─腸から始まる健康革命│進化する「腸活」アプローチ
3つ目のトレンドは、健康の土台として重要視される「腸内環境(腸活)」へのアプローチです。
プロバイオティクス(善玉菌)やプレバイオティクス(善玉菌のエサ)の重要性は広く認知され、関連製品もさらに進化しています。
昨年同様、ヨーグルトやコンブチャ、キムチ、ピクルスといった発酵食品は根強い人気ですが、今年は特に「プレバイオティックソーダ」が目につきました。これは、食物繊維など善玉菌のエサとなる成分を配合した炭酸飲料で、「美味しく腸活できる」点が受けているようです。
また、単にプロバイオティクスを添加するだけではありません。
*特定の菌株の効果を訴求する製品(例:免疫サポート、アレルギー対策など)
*ポストバイオティクス(善玉菌が作り出す代謝産物や菌体成分)を活用した製品
上記のように、より科学的根拠に基づいた、多様なアプローチが見られました。腸内環境への関心は、一過性のブームではなく、健康維持の基本として定着しつつあるようです。
次回は「サステナビリティ」と「パーソナライズ化」を解説
今回は、「Natural Products Expo West 2025」で見られた食の最新トレンドの前半として、「高タンパク質」「機能性食品」「腸活」の進化かつ深化について解説しました。
次回は、残りのトレンドとして注目される「サステナビリティ(特に再生農業)」や「パーソナライズ化する栄養」について解説し、これらのトレンド全体から日本の食品業界が何を学び、どう活かせるかを考察していきます。お楽しみに!