前回の記事では、NFTの基本的な解説や可能性についてお伝えしました。今回は、NFTが企業の経営戦略にどのような影響を与えるのか、僕なりの視点でお話ししたいと思います。
WEBの進化とNFT
NFTを語る上で欠かせないのが、WEBの進化です。
WEB1.0
企業や個人が一方的に情報を発信する時代。インターネット上の情報をハイパーテキストで結び付け、膨大な情報の検索・管理を可能にするという狙いで1989年にWEBが誕生しました。そして1990年に世界初のWEBサイトが開発されました。WEB1.0はホームページなど、組織が個人がインターネット上で一方的に情報を発信する形式です。
WEB2.0
WEB2.0への以降が始まったのは、1990年代後半。SNSやブログなどが登場し、情報の発信者と受信者が双方向にコミュニケーションを取れる時代。しかし、情報はプラットフォーム企業に集約され、利益も企業側に偏っていました。
WEB3.0
WEB3.0とは、2008年にサトシ・ナカモトと称する正体不明の人物が発表した論文により発明されたブロックチェーン技術により構成される、非中央集権的なネットワーク上で情報がやり取りされる概念。NFTは、WEB3.0の副産物であり、企業とユーザー双方に利益をもたらす可能性を秘めています。
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NFTがもたらす経営戦略へのインパクト
NFTは、特にブランド価値の向上やマーケティング活動の強化において、大きなインパクトを与えます。その理由は、NFTが企業とユーザー双方に利益をもたらすからです。
WEB2.0では、データ収集から収益まで、企業側がほぼ全てを享受していました。しかし、NFTの世界では、ユーザーが保有するNFTの価値が、NFT発行企業の事業価値とともに上昇します。そのため、ユーザーは企業の業績を自分ゴトとして捉え、積極的にサポートする動機付けが生まれるのです。
NFTを活用した企業の事例
実際に、NFTを経営戦略に活用している企業は増えています。例えば、雑誌「TIME」は、NFTコレクションを販売し、NFT保有者限定のイベントへの参加権などを提供しています。
ほかにも、日本人になじみのある企業の事例をいくつかあげてみましょう。
NFTマーケットプレイス「Rakuten NFT」の運営。スポーツ、エンタメ、アートなど幅広いジャンルのNFTを取り扱っており、楽天ポイントをNFTの購入に利用できる点が魅力。楽天が持つECサイトやコンテンツとの連携を視野に入れている。
2025年1月にNFTマーケットプレイス「メルカリNFT」をリリース。これにより、ユーザーはメルカリのプラットフォーム上でNFTの売買が可能になった。
出版大手の集英社は「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」というプロジェクトを立ち上げ、漫画原稿をNFT化。これにより、ファンは貴重な漫画原稿のデジタル所有権を得ることが可能になった。
吉本興業は「よしもとNFTシアター」を展開し、お笑いネタをNFT化して販売。これは、エンターテインメント業界におけるNFTの新しい活用方法として注目を集める。
キャラクター企業のサンリオは「Hello Kitty and Friends」というNFTコレクションを発表。人気キャラクターをNFT化することで、新たなファン層の開拓に乗り出す。
アサヒビールは「ASAHI SUPER DRY BRAND CARD COLLECTION」というNFTコレクションを展開。これは、ブランドロイヤリティを高めるための新しい試みとして注目されている。
凸版印刷は企業向けNFT認証ソリューションを提供。特に、「HAYACAWA™わん」という特定のNFTを保有した人にコミュニティ参加権を付与できるツールを開発したのが画期的。
音楽配信サービスのレコチョクは、チケット自体をNFT化した「レコチョクチケット」を提供。これにより、チケットの二次流通や偽造防止などの課題解決を目指す。
以上の事例は、NFTが様々な業界で活用され始めていることの証明と言えるでしょう。
NFTを通じて「新しい顧客体験の創出」「自社ブランド価値の向上」「新たな収益源の確保」を目指すことは、今や経営戦略の一環と当然のことです。
今後も拡大が期待されるNFT
NFTが、企業と顧客の関係を大きく変える可能性を秘めているのは間違いありません。
NFTを活用することで、ロイヤリティの高い顧客を育成し、ブランド価値を高めることができるでしょう。
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