今回のポストも、拙著『ファウンダー思考』から起業家をご紹介します。
アメリカで日本食レストランチェーン「新撰組」を展開する重田光康氏もまた、前回のポスト同様 “The best way to predict the future is to create it.”を体現している一人です。
経済大国アメリカで自分を試したい! 単身渡米へ
大学で土木を学んでいた重田氏は、アメリカの都市開発に携わりたいという漠然とした夢を抱きアメリカに降り立ちました。しかし、当時の彼は言葉もわからず、コネもお金もない状態。すぐに成功をつかめるはずもなく、途方に暮れてしまいます。
言葉の壁、リソース不足、そして孤独。簡単に越えられない障壁ばかりで、重田氏は何度も打ちのめされたようです。
しかし、彼は諦めませんでした。「日本に帰る」という選択肢を自ら捨てて、必ずアメリカで成功すると決意を新たにしたのです。
インパクトを与えるための秘策とは
「無名の自分がアメリカで成功をつかむためには、人々に強烈な印象を与える必要がある」と考えた彼は、空手の大会優勝と不動産資格取得という2つの大きな目標を立てました。しかし、当然ながらテキストも手続き書類もすべて英語。これまでにないほど努力しなければなりません。
睡眠時間を削って勉強し、猛練習を重ねた結果、彼は見事に有言実行を果たします。この経験で「どんなことでも乗り越えられる」という自信を得たものの、人脈は広がらず、生活は依然として苦しいままでした。
窮地を救った「アルバイト経験」
そんな状況を脱出させてくれたのは、学生時代のアルバイト経験だったそうです。
焼き鳥屋で働いた経験を生かして、焼き鳥店「新撰組」を開業。「好きなものを、好きな味で、好きなサービスで提供する」というポリシーを貫いた結果、お客様がどんどん増え、店舗も拡大。現在は日米で15店舗を運営するまでの企業に成長しました。彼はファウンダーとして大きな成功をつかんだのです。
支えとなったのは家族
苦しい状況下でも彼が諦めなかったのは、幼い頃から耳にしていた母の言葉の影響です。
「信頼は金蔵(かねぐら)」「武士はくわねど高楊枝」「為せば成る、為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」。この3つの言葉が人生の羅針盤となり、どんな困難な状況でも乗り越える力を与えてくれました。
また、周りが反対する中、唯一事業拡大に賛成して背中を押してくれた妻の存在も大きかったそうです。彼のファウンダー思考が身を結んだのは、家族の支えがあったからこそといえるでしょう。
重田氏が説く成功の秘訣
彼は、何よりも「誠意」を重んじて仕事をしてきました。お客様だけでなく、従業員に対しても、誠心誠意対応してきたのです。「人を喜ばせたい」と考え、目の前のことに一生懸命取り組むその姿勢は、多くの人の心を動かしてきました。
また、やりたいことよりも、与えられたことに全力投球するという姿勢も、彼の成功を支えた大きな要因といえるでしょう。
彼の生き方は、これから新規事業を起こしたい人や、日本からアメリカ進出を目指す人に大きな勇気を与えてくれます。何もないところからスタートした彼の経験は、拙著『ファウンダー思考』でさらに詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。