トランプ政権の暗号資産ビジネス──特使の肩書きと750億円の資金調達の経緯(シリーズ第2回)

前回の記事で、日本のステーブルコイン市場が平和に発展しているとお伝えしました。

しかしアメリカに目を向けると、まるで映画のような巨大スキャンダルが進行中なのです。 その中心にいるのは、なんとトランプ大統領とその一族。

今回は、彼らが立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクトと、国家権力を利用した「公私混同」とも言える約750億円もの資金調達の裏側を僕が徹底解説します。

トランプ一族が主導する「World Liberty Financial」とは?

「大統領自らが、就任前から仮想通貨ビジネスで大儲けする仕組みを作っていた」

信じられないかもしれませんが、それが現実です。

2024年9月、トランプ氏とその親族が全面的にバックアップするDeFi(分散型金融)プロジェクト「World Liberty Financial(WLF)」が立ち上がりました。WLFは暗号資産の貸し借りを行うプラットフォームであり、「USD1」という独自のステーブルコインを発行しています。

問題なのは、この事業から生まれる利益の大半が、トランプ一族に入る構造になっていることです。

ウィトコフ親子が関わる暗号資産ビジネスの構図

このプロジェクトには、もう一組の重要人物が存在します。それが共同創業者のザック・ウィトコフ氏と、その父親であるスティーブ・ウィトコフ氏です。

スティーブ氏は、トランプ氏と長年の親交がある不動産投資家。そしてトランプ氏は、2025年1月の大統領就任に先駆け、彼を政府の重要ポストである「中東特使」に指名しました。

中東情勢が緊迫する今、トランプ氏の公的立場とビジネスとの関係性が改めて注目されています。

UAE王族マネーとWLF、5億ドルの株式取得はなぜ実現したのか

大統領就任の約1ヶ月半前、中東特使に指名されたばかりのスティーブ氏はアラブ首長国連邦(UAE)へ飛びました。

表向きの目的は「王族との地域問題の協議」でしたが、驚くべきことに、彼はそこで息子の暗号通貨プロジェクト(WLF)のトップセールスも行っていたのです。

結果として、アブダビの王族タフヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン氏の関連法人が、WLFの株式49%を5億ドル(約750億円)で取得する契約を締結。

さらにその後、同氏が率いるアブダビ政府系投資会社MGXが、WLFのステーブルコイン「USD1」を20億ドル(約3,000億円)分も購入するという、桁違いの取引に発展しました。これは公的立場を利用した資金調達の構図だと、もっぱら議論を呼んでいます。

しかし、彼らの野望はこれだけでは終わりません。次回は、このビジネスに中国系マネーが介入している矛盾と、アメリカの法定通貨を乗っ取ろうとする恐ろしい計画についてお話しします。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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