海外で、日本酒の認知度が高まる一方で、焼酎はアメリカ市場でいまだに苦戦しています。
今回は、5年にわたりJETROのプロモーション事業に携わってきた僕が、現場で感じた「日米のお酒の飲み方」についてお伝えします。
焼酎はアメリカで「中途半端」な位置づけ
ここアメリカでは、日本食レストランの普及とともに日本酒(Sake)の認知度は確実にアップしています。
ところが焼酎については、いまだほとんど知られていないのが実情です。どうしてなんでしょうか。最大の壁は、アルコール度数の「立ち位置」です。
アメリカの酒類市場はとてもシンプルで、ビール(約5%)やワイン(約13〜14%)のような低〜中度数のお酒と、ウイスキーやテキーラ、バーボンといった40%以上のハードリカーにくっきり二分されています。
そんな中、焼酎のアルコール度数の25度前後というのは、ハードリカーと呼ぶには低すぎるし、ワインやビールのカテゴリーにも入らない。 つまり、「どこに位置づけていいかわからない」、要するに中途半端なお酒なのです。
アメリカ人は「カクテル1杯+ワイン1杯」で完結する

僕がアメリカに来て最も驚いたのは、お酒の楽しみ方の特色でした。
日本の飲み会といえば「とりあえずビール」で始まり、焼酎やサワーをチャンポンして、ワイワイ酔うのが定番ですよね。
でもアメリカでは、特にニューヨークやロサンゼルスのお洒落なレストランに行くと、まずバーカウンターで食前酒としてカクテルを一杯頼む人が多いです。
マティーニ、オールド・ファッションド、マルガリータあたりが定番の三大カクテルです。そしてメインの料理が運ばれてきたら、赤ワインをグラスで一杯。それで終わりです。
この定番スタイルは、若者でも変わりません。日本なら、学生や若手社会人が銀座のバーでカクテルを嗜む姿なんて、あまり見かけません。
でも、アメリカでは20代そこそこでもステーキハウスでオールド・ファッションドを注文するのが普通なんです。
食前酒のカクテルをアペタイザー(前菜)と合わせ、メインにはワインを合わせる。 いわば「お酒は、食事を引き立てるためにある」という社交文化が、年齢を問わず根付いているのがアメリカのお酒の飲み方なのです。
海外展開のカギは「現地のスタイル」に合わせること
こうした文化の違いを踏まえると、焼酎をそのままの形でアメリカに持ち込んでも響かないのは当然。
ある業界関係者は「50〜60度の高度数の焼酎や泡盛を開発し、カクテルのベースとして提案すべきだ」と指摘しています。

テキーラやウイスキーのようにハードリカーとしての立ち位置を確保し、バーテンダーがカクテルの素材として使えるようにする。それが焼酎にとって最も現実的なアメリカ攻略法でしょう。
僕は、JETRO関連のチームにも同じアドバイスをしています。
海外で日本のお酒を広めるなら、まずはその国の「お酒の飲み方の違い」を深く理解すること。同時に、現地の文化にフィットする形で商品の立ち位置を再設計すること。 これは、お酒に限らずあらゆる商品・サービスの海外展開に通じるマーケティングの鉄則です。

