肌は「治す」より「整える」。僕が考えるナチュラルなエイジングケア

これまで2回にわたって、アメリカで広がるペプチドとバイオハッキングの話をしてきました。最終回の今回は、その流れが女性の健康や美容とどうつながっているのか、そして僕たちのブランド「Shikohin」がどんな形でそれを取り入れているのかをお話ししたいと思います。

女性の体は、年齢とともに揺らいでいく

女性の体は、ライフステージごとにホルモンのバランスが大きく変化します。とくに40代以降の更年期前後は、睡眠の質や肌の調子、気分の波まで、さまざまな変化に悩む方が少なくありません。

アメリカでは最近、こうした女性特有の悩みに対しても、ホルモンを整えるアプローチのひとつとしてペプチドが話題にのぼるようになってきました。とはいえ、この分野はまだ研究途上で、本来は医師に相談しながら進めるべき領域です。「海の向こうでこんな会話が広がっている」という、最新の空気感として受け取っていただくのがいいと思います。

ただ、その根っこにある「年齢に逆らうより、変化する体とうまく付き合って整える」という発想は、もっと身近なところにも応用できます。それがスキンケアです。

ペプチドの発想を、スキンケアに

1回目にお話ししたとおり、ペプチドの面白さは、肌や体に「こうしてほしい」とやさしく指令を出すところにあります。「コラーゲンを作って」「ちゃんと修復して」と、肌本来の働きにそっと声をかけるイメージですね。

Shikohinでは、この考え方をそのままスキンケアに持ち込んでいます。注射のような医療的なアプローチではなく、毎日のケアのなかで、肌が自分の力で回復していける状態を整えること。強い成分で無理やり変えるのではなく、肌が本来もっているバランス(専門的には「ホメオスタシス」と言います)にそっと寄り添う。そういう設計です。

派手さはないかもしれません。でも、これから長く付き合っていく肌だからこそ、このナチュラルさを僕は大事にしたいと思っています。

ツボクサとキノコが肌を支える

具体的に注目しているのが、「センテラペプチド」という成分です。これは、ツボクサ(センテラ)という植物のエキスとペプチドを組み合わせたもの。ツボクサは、敏感に傾いた肌をなだめ、肌のバリアを支える働きで知られています。そこにペプチドが加わることで、肌のキメやハリをサポートする方向へ導いていきます。

さらにShikohinでは、このセンテラペプチドに、白木耳(しろきくらげ)や、霊芝・チャーガ・舞茸といった数種類のキノコを組み合わせた、セラムやクリームの開発を進めています。白木耳は「天然のヒアルロン酸」とも呼ばれるほどの保水力で知られ、キノコ類は抗酸化の働きで肌を環境ストレスから守ると言われています。

ターゲットにしているのは、30代から60代の女性。肌の変化が気になり始めた方に、自然体で寄り添えるものを目指しています。

3回にわたってお届けしたペプチドとロンジェビティの話も、これでひと区切りです。健康寿命というと、何か特別な人だけのものに聞こえるかもしれません。でも本当は、毎日の小さなケアの積み重ねの先にあるもの。アメリカの最先端の動きを眺めながら、僕自身は「強く変える」より「やさしく整える」道を選びたい。そんなことを、改めて感じています。


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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。