「小さな成功体験」が起業家をつくる。僕のファウンダー思考の原点

※2025年1月に公開した記事を、2026年6月に加筆・再構成して再投稿しています。

今、起業のハードルは驚くほど下がっています。AIのおかげで、ひとりでもできることが一気に増えました。まとまった資金がなくても、特別な人脈がなくても、頭に浮かんだサービスを形にして世に出せる。そんな時代に僕たちは立っているのです。

でも、AIやデジタルツールがどれだけ進化しても、変わらないものがあります。それは「最初の一歩を踏み出す勇気」と「途中で諦めない心」。何度も新規事業に挑んできた僕が、心の底から実感していることです。

新規事業は、僕にとってずっと追いかけている宝島のような存在です。そこを目指す生き方を、僕は「ファウンダー思考」と呼んでいます。

起業のハードルが下がった今こそ「最初の一歩」

新しいことを始めるのは、やっぱり怖いものです。

僕も商社マンとして赤坂で働いていた頃、「このまま安定した道を進むのか、それともゼロから何かを立ち上げるのか」と何度も迷いました。失敗したら、笑われたら。そんな不安は、いつだって頭をよぎります。

ただ、踏み出さなければ、その先の景色は一生見られません。怖いのは当たり前。その怖さを抱えたまま、半歩でいいから前に出る。その小さな行動が、すべての始まりです。

しかも今は、いきなり会社を辞める必要すらありません。週末だけ手を動かして試作品をつくる。SNSで小さく告知してみる。そのくらいの軽さで十分です。大きく賭けるのは、手応えをつかんでからでいい。最初の一歩は、できるだけ小さく、軽く。それが長く続けるコツだと思っています。

人生は一度きり。やらなかった後悔より、やってみた経験のほうが、ずっと自分を豊かにしてくれます。

成功法則より大事な「諦めずに試行錯誤する」こと

事業を始めると、つい「どうすれば成功するのか」という正解探しに夢中になります。望みを一発で叶える魔法の杖を探すような気持ち、僕にもよくわかります。

でも、断言します。絶対的な成功法則なんてありません。

いくつもの事業を立ち上げてきた実感として、成功はあくまで結果論です。走り出した瞬間から、うまくいかないことの連続。失敗するたびに微調整して、たくさんの人に助けられて、ようやく望む場所にたどり着く。その繰り返しでしかありません。

日本には、世界中の起業家が尊敬する名経営者が大勢います。彼らに共通するのは、特別な才能ではなく「最後まで諦めなかった」という一点です。挑戦する勇気、失敗から学ぶ姿勢、人とのつながりを大切にする心。どれも派手さはないけれど、本物の強さだと思います。

それだけではありません。ぶれないビジョンを持ち、小さくても目標を立て、うまくいかない時もポジティブさを失わない。学び続ける姿勢を手放さない。そうした地味な積み重ねの先に、後から「成功」と呼ばれる景色が現れるのだと、僕は考えています。

小さな成功体験が「次の挑戦」の燃料になる

ここで一番伝えたいのが、「小さな成功体験」の力です。

いきなり大きな結果を狙う必要はありません。出してみたサービスがひとりに喜ばれた。試しに並べた商品が初めて売れた。そんなささやかな手応えが自信に変わり、次の一歩を踏み出す燃料になります。

僕が今もこの宝島を追いかけていられるのは、振り返れば小さな成功の積み重ねがあったからです。大きな夢も、結局はその延長線上にしかありません。

派手な成功ストーリーに憧れる気持ちは、僕にもあります。でも本当に効いてくるのは、誰にも気づかれないような小さな勝ちを、自分でちゃんと認めてあげることです。それが折れそうな心の支えになります。

もし今、何かを始めようか迷っている人がいたら、僕は心から背中を押したい。完璧に準備が整う日なんて、いつまで経っても来ません。怖さを抱えたままでいい、まずは小さな一歩から。

その先で、あなたがまだ見たことのない景色に出会えることを、本気で願っています。


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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。