※本記事は2026年4.17時点の報道をもとにしています。米イラン関係および関連する金融・外交動向は流動的で、今後の展開により内容が変わる可能性があります。
前回の記事では、トランプ一族が国家権力を背景に進める巨大暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial(WLF)」や、中東特使という公職を利用した巨額の資金調達疑惑に触れました。その背景には、複雑な利害関係が絡んでいます。
今回は、アメリカが敵視するはずの中国出身の起業家の暗躍と、自社の発行するコインを「アメリカの事実上の法定通貨」にしてしまおうとする、前代未聞の野望についての解説です。
経営難を救った中国出身の起業家・ジャスティン・サンの存在
WLFも、最初から順風満帆だったわけではありません。2024年秋の立ち上げ直後はトークンの販売が振るわず、いきなり経営難に陥っていました。
そこで救いの手を差し伸べたのが、ブロックチェーン「Tron(トロン)」の創業者であるジャスティン・サン氏です。
2024年11月に3,000万ドル、翌2025年1月にさらに4,500万ドルを追加し、合計7,500万ドル(約110億円)以上を投資。資金面を大きく支えました。
トランプ政権は表向きには中国に対して厳しい関税や制裁を科していますが、裏では自らのビジネスのために中国出身者のマネーに頼っているのです。さらに注目すべきは、サン氏への米証券取引委員会(SEC)による調査が、トランプ氏の大統領就任後まもなく取り下げられたという事実。この矛盾には驚きを隠せません。
USD1は米国の”公式ステーブルコイン”になるのか?

さらに懸念されるのは、WLFが発行するステーブルコイン「USD1」を、アメリカの主要ステーブルコインとして位置づけようとする動きが見られることです。
また、暗号資産業界では、ライセンス発行の遅れが指摘されています。実際に、私の友人が展開するプロジェクトでも、連邦政府の承認にかなりの時間を要しているそうです。
仮にこうした動きが事実であれば、かなり深刻な状況です。政治的な圧力を使って、競争環境に影響を与える可能性は決して見過ごせません。
WLFの収益構造と、問われる利益相反
海外メディアの報道によれば、トランプ一族はこのWLFを通じて、2025年12月時点で10億ドル(約1,500億円)もの利益を得たとされています。さらに、未売却のトークンを含めると保有資産はその数倍に膨らむ可能性も指摘されています。
大統領という国家の最高権力をフル活用し、息子たちや長年の友人に巨額の富をもたらす仕組み。米国上院議員からは「利益相反の懸念」として追求されており、倫理規定に関する議論が現在も続いています。
我々も、こうした「お金と権力が結びつく世界の裏側」にしっかり目を向ける必要がありそうです。
第1回でお伝えした日本のステーブルコイン市場は、法整備のもとで着実に進んでいます。だからこそ、世界で起きている”もうひとつの現実”も知っておく価値があるのではないでしょうか。


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