前回と前々回の記事で、「大富豪・大貧民」という視点から現代社会の価値観を問い直し、「価値観の革命」の必要性について考えてきました。
最終回となる今回は、現代社会が直面する深刻な「分断」という課題に焦点を当て、それを乗り越え、真に豊かな社会を築くために僕たちができることは何かを探っていきます。
深刻化する「富の格差」と社会の分断
現代社会は、かつてないほどのスピードで変化し、発展を遂げています。しかし、その一方で、経済的格差も加速度的に拡大している現実から目を背けてはならないでしょう。
特に、資本主義が高度に発達した国々では、一部の人々に富が集中し、その他大勢の人々はその恩恵を受けられないという状況が生まれています。これは、単に経済的な問題に留まらず、人々の心にも影響を与え、社会全体の幸福度を低下させる要因となり得るのです。
お金が全ての価値基準となってしまうと、僕たちは本来大切にすべきものを見失い、互いに不信感を抱き、孤立を深めてしまうのではないでしょうか。
貨幣経済の限界と「価値観の革命」の必要性
現在、僕たちの経済活動の多くは「貨幣」を介して行われています。ドルや円、ユーロといった法定通貨、そして近年では仮想通貨もその役割を担いつつあります。しかし、この貨幣経済システムは、果たして本当に僕たちの幸福に貢献しているのでしょうか。
貨幣は便利な道具である一方で、時に僕たちを支配し、本来の目的を見失わせる危険性も孕んでいます。お金儲けが自己目的化し、本当に価値のあるもの、例えば人との繋がりや心の豊かさ、自然との調和といったものが軽視されてしまうとしたら、それは本末転倒です。
価値観が変わった瞬間
これは知人の話なのですが、つい最近ご家族が緊急で大きな手術を受けられました。幸い手術は無事に終わったのですが、完治までは半年ほどかかると言われたそうです。
ところがその知人には、もうひとつ憂い事がありました。日本の実家の親御さんが危篤状態だったのです。そこで手術をしてもらった医師に「できるだけ早く、家族ともども日本に帰国したい」と、率直に話したのだとか。
医師は、さぞかし驚いたことでしょう。なにしろ、手術をしたご本人は、本来なら安静にしているべき状態なんですから。それでも、日本にいる親御さんが危篤ならば、是が非でも駆けつけたい。たとえ臨終に間に合わずとも、せめて葬儀には参列したいと言い募っているわけです。
話を聞いた医師は、突如として泣き出したのだとか。南カリフォルニアでもトップ中のトップの医師が、
「それほど大きな気がかりを抱えながら、あの大変な手術を受けていたのか」
と、大粒の涙を流してくれたそうなんです。
僕はこの話を聞いて、これこそが本物の医者だと感激しました。高度なスキルで手術を行うだけじゃなく、患者の心情に寄り添ってくれる。病気や怪我を治して命を救うのと同時に、患者の心も大事にしてくれる。まさしく神のような医師だなと思いました。
世の中には、貨幣価値とは全く違う、もっと尊い価値もあるんだと実感したのです。

これからの10年で起こりうる「経済革命」への期待
僕たちは今、大きな転換期に立たされています。既存の価値観や社会システムが揺らぎ、新たな価値観が生まれようとしています。もしかしたら、これからの10年で、貨幣経済に代わる、あるいはそれを補完するような、全く新しい「価値観の革命」が起こるかもしれません。
それは、物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさや人との繋がり、社会への貢献といったものが正当に評価される社会。そして、誰もが自分らしく、生きがいを感じながら暮らせる社会です。
僕たち一人ひとりができること
「価値観の革命」や「経済革命」は、決して夢物語ではありません。僕たち一人ひとりが、日々の生活の中で「本当に大切なものは何か」を問い続け、小さなことから行動を変えていくことで、必ず実現できると信じています。
今回の3回にわたる連載が、皆さんの価値観を見つめ直し、より豊かで幸せな未来を築くための一助となれば幸いです。
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