※2024年10月に公開した記事を、2026年5月に加筆・再構成しました。
「それ、本当にやりたいことですか?」
そう問われて、僕は思わず言葉に詰まりました。普段の僕の口ぐせは「〜しなければ(have to)」。やるべきこと、こなすべきことに追われているうちに、いつの間にか「〜したい(want to)」を見失っていたのです。
最近の僕は、「プリンシプル(信条)」と「プライオリティ(優先順位)」という2つの言葉の大切さを、これまで以上に強く感じています。今日はこの2つについて、グローバル起業家の視点から書いてみます。
経営者同士が本音をぶつけ合う「フォーラム」という場

僕は、EO(Entrepreneurs’ Organization/起業家機構)という世界的な起業家ネットワークに所属しています。なかでも貴重なのが「フォーラム」と呼ばれる、固定メンバー8名ほどの小さなグループです。
毎月必ず全員で集まり、従業員にも家族にも相談しづらい経営者の悩みを、偏見なく開示し合う。互いの過去の似た経験を持ち寄り、打開策を一緒に考える。ここでの議論は、いつも新鮮な刺激と学びをくれます。だから僕は、フォーラムの開催日が待ち遠しくて仕方ありません。
冒頭の「本当にやりたいことか」という指摘も、このフォーラムで仲間からもらった一言でした。「Takeshiはよく“ハブトゥー(しなければ)”と言うけれど、大事なのは“ウォントゥー(したい)”じゃないのか」と。ハッとさせられました。

「したい」を暴走させないための「プリンシプル(信条)」
ただ、思いつくままに「やりたい!」と動くのは賢明ではありません。そこで軸になるのが、自分のなかの揺るがない信条、プリンシプルです。
信原威(のぶはら・たけし)が掲げるプリンシプルは、たとえばこんなものです。
・地球環境と子どもたちの未来に貢献する仕事をする
・90歳まで健康で自立して暮らせるよう、体を整える
・家族と友人を最優先にする
・心から取り組みたいと思うことだけに力を注ぐ
・「今」を生き、今を楽しむ
戦後日本の舞台裏を支えた白洲次郎も、著書『プリンシプルのない日本』で、筋を通す信条の大切さを説き続けた人でした。妥協してもいい、ただしプリンシプルを通したうえで妥協せよ。彼のその姿勢に、僕はいつも背筋を正される思いがします。
偉人たちが50代で見据えていたもの
プリンシプルの大切さは、時代を超えて語り継がれてきました。
織田信長は、幸若舞「敦盛」の一節「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」を好んだといいます。人の世の50年は天界の時間に比べれば夢幻のように儚い、という意味です。
そして孔子は「五十にして天命を知る」と説きました。50代とは、自分が何のために生きるのかを見定める節目なのかもしれません。
50代を歩む僕も、これからは常にプリンシプルとプライオリティを意識して生きていこうと決めました。この記事は、その小さな決意表明でもあります。
信条を成果に変える「プライオリティ(優先順位)」

もっとも、プリンシプルを掲げるだけでは成果は最大化できません。次に問われるのが、プライオリティ(優先順位)です。
何を先にやり、何をやらないか。優先順位を正しく決めてはじめて、限られた時間とリソースを本当に大切なことへ集中できます。
明確なプリンシプルがあれば、複雑な状況でも判断が速くなる。そのプリンシプルに沿って優先順位を引けば、手持ちの資源を最適に配分できる。これは、文化も価値観も異なる相手とビジネスをする海外でこそ効いてきます。
「しなければ」に飲み込まれそうになったら、思い出したい2つの言葉。プリンシプルとプライオリティ。あなた自身の軸は、何でしょうか。


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