コスモプロフに3年通い続けて実感した、継続が生む本当の力

7月13日から15日の3日間。僕たちのウェルネスブランドShikohinは、ラスベガスで開かれたアメリカ最大級の美容見本市「Cosmoprof North America」に出展してきました。ラスベガス会場とマイアミ会場を合わせると、この3年で通算5回目の出展です。

展示会に出続けるのは、決して楽ではありません。ブースの費用も、準備の手間も、現地での体力も、毎回それなりの覚悟がいります。それでも出し続けてきて、今回ようやく「続けてきてよかった」と心から思える手応えがありました。

1年目の歓迎と、2年目の素通り

初めて出展した年のことは、今でもよく覚えています。

新参者のめずらしさもあったのでしょう。お願いしていた業界コンサルタントがいろんなバイヤーを紹介してくれて、Shikohinという会社の理念、創業のストーリー、商品開発にかけた思い、そのユニークさを、一つひとつ丁寧に説明する機会をたくさんいただきました。みんな面白がって聞いてくれる。手応えのある滑り出しでした。

ところが2年目は、空気が変わりました。

目新しさが薄れたのか、一部のバイヤーはブースの近くまで来ても、寄らずに通り過ぎていくのです。もちろん彼らは忙しい。そして常に「まだ世に出ていない新しいもの」を探しています。

Shikohinnのことは、名前は知っているけれど、自分の店に並べるにはまだ実績が足りないブランド。そんなふうに見られていたのかも知れません。素通りされないまでも、こちらの話に対する反応がいまひとつで、寂しい思いをしたのを思い出しました。

Shikohin OfficialSiteより

3年目、バイヤーのほうから来てくれた

そして今年。

新しい商品をローンチしたこともありますが、それ以上に大きかったのは、僕たちが出展を続けてきたという事実そのものでした。

今回は、本当に多くの良いバイヤーと、濃い時間を過ごせました。高級百貨店のNordstrom、テレビ通販大手のQVC、JWマリオットのスパを統括するディレクター、中南米をカバーするディストリビューター。いずれも、以前なら腰を据えて話に乗ってもらえなかった相手ばかりです。

なぜ潮目が変わったのか。理由ははっきりしています。

バイヤーたちは、1年目に僕たちを面白がり、2年目に立ち寄って様子を見て、そして3年目に「あのブランドは出続けているし、扱う店も売上も伸びている」という事実を確認していたのです。

だから今年は向こうから「本格的に話そう。その上で、うちでも扱ってみようかな」と言ってくれたのです。ずっと出店し続ける姿を、彼らはちゃんと見てくれていました。

「うちはユニーク」というアピールは誰でも言う

今回、あらためて痛感したことがあります。

僕たちは以前から「うちの商品にはほかにないユニークさとストーリーがある」と話してきました。でも、こういう展示会に来れば分かるのですが、そんなことは、どのブランドもみんな言っているんです。「うちはユニーク」のアピールは、もはやユニークじゃありません。それじゃ、差別化できないのです。

だからこそ、言葉だけでは伝わらないという覚悟が要ります。差がつくのは、その言葉を実績で裏づけられるかどうか。出続けて、商品を磨き、扱う店舗と売上を伸ばして、はじめて「たしかにユニークだ」と信じてもらえます。

石の上にも三年、事業は一歩一歩

「石の上にも三年」という言葉があります。冷たい石の上でも三年座り続ければ温まる。辛抱強く続ければ報われる、という意味ですね。まさに今回までの3年間が、僕にとって、その石でした。

振り返れば、僕たちが高級百貨店のニーマン・マーカスと取引を始めるきっかけになったのも、数年前のこのCosmoprofでした。あのときの一つの出会いが、通い続けるうちに本物の取引へと育っていったのです。

この秋には、大きなチェーンで160店舗規模の展開も控えています。作ってきた商品は間違っていなかったのです。伝えたかった理念も、これから広げたいブランドのポジショニングも、バイヤーの方々にちゃんと届いていました。そう確信できたことが、今回の何よりの収穫だったと言えます。

事業は一足飛びには、決して進みません。一歩ずつ、一年ずつ、積み上げていくしかないのです。地味だけれど、続けた人にしか見えない景色が、確かにあります。三年通ってようやく、継続は力なりという言葉の重みが腹落ちしました。


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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。