内向型こそ武器になる?『スタンフォード流 ピンポイント人脈術』が示す新しい繋がり方(ブックレビューvol.3)

ブックレビューシリーズ3冊目です。今回は少し毛色の違う一冊を取り上げます。

元ハフィントンポスト日本版編集長などを務めた竹下隆一郎氏による

『内向的な人のための スタンフォード流 ピンポイント人脈術』

これまでの2冊(『人を動かす』『1兆ドルコーチ』)とは異なり、日本人著者による、現代的な視点での人脈構築論です。

目次

「内向型」が人脈作りに悩む時代

SNS全盛の現代。誰もが簡単に繋がり、情報を自由に発信できる時代になったとも言えます。

一方で、華やかな交流イベントやオンラインでの積極的なアピール合戦に、どこか「疲れてしまう」「自分には向いていない」と感じる人も少なくないのではないでしょうか。

この本の著者がそうであったように、「内向的な性格」の持ち主にとって、従来型の「広く浅く、数多く」の人脈作りは、時に苦痛ですらあります。

この本は、そんな内向的な人たちが、自分らしく、無理なく、質の高い人脈を築くためのヒントを与えてくれる一冊です。

「ピンポイント」で繋がるということ

本書が提唱するのは、「広く浅く」ではなく「狭く深く」の人脈術。やみくもに繋がりを求めるのではなく、本当に共感でき、信頼できる少数の人々との関係性を大切にするというアプローチです。

そのためのキーワードとして、内向的な人が持つ強みが挙げられています。

共感力

相手の気持ちを深く理解しようとする力

観察力

相手の細かな言動や変化に気づく力

傾聴力

相手の話をじっくりと聞く力

外交的な人のように積極的に前に出るのは苦手でも、上記のような力を活かせば、「聞き上手」「話しやすい存在」として、相手との深い信頼関係を築くことができる、と著者は説いています。

無理せず「自分の居場所」を見つける

僕がこの本で特に共感したのは、「自分の居場所を見つける」という視点です。

無理に苦手な場に参加したり、自分を偽って社交的に振る舞ったりする必要はない。自分が自然体でいられ、心地よくエネルギーを交換できるコミュニティや人々を見つけることが重要だ、という考え方です。

それは……

  • 共通の趣味を持つ仲間
  • 同じ価値観を共有できる業界の集まり
  • 尊敬できるメンターや先輩

など、形は様々でしょう。大切なのは、「数」ではなく「質」。そして、自分にとって本当に意味のある繋がりかどうかです。

自分らしい人脈作りのススメ

『スタンフォード流 ピンポイント人脈術』は、人脈作りに悩む、特に内向的なビジネスパーソンにとって、心強い味方となるでしょう。

  • ネットワーキングイベントが苦手な方
  • SNSでの交流に疲れを感じている方
  • 数は少なくても、質の高い人間関係を築きたい方

は、ぜひ読んでみてください。

「スタンフォード流」という部分がどこまで本質かはさておき、無理なく自分らしい人脈を築くための具体的なヒントや、考え方の転換を与えてくれるはずです。

1冊目と2冊目が、人間関係やリーダーシップの「王道」だとすれば、本書は多様な働き方や生き方が求められる現代における、新しい「繋がり方」の選択肢を示すものだと言えるでしょう。


内向的な人のための スタンフォード流 ピンポイント人脈術 (ハフポストブックス) 

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。

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