人生の羅針盤となる「BHAG(壮大で大胆な目標)」を設定する方法【第3回 未来創造編】

これまでの2回の記事で、僕たちは人生の「棚卸し」を実践してきました。

第1回では「Wheel of Life」と「Core Values」で自分の現在地とコンパスを確認し、第2回では「Friends Exercise」で他人という鏡に映る自分の姿を知りました。

さあ、いよいよ最終回です。今回は、これらの自己分析の集大成として、あなたの人生を懸けて追いかけるべき「北極星」を見つける方法、「Personal BHAG(個人的で、壮大かつ大胆な目標)」の設定についてお話しします。

BHAGとは?単なる「夢」で終わらせない目標設定の力

BHAG(ビーハグ)という言葉を聞いたことがありますか?

これは、経営学の名著『ビジョナリー・カンパニー』の著者ジム・コリンズが提唱した概念で、「Big Hairy Audacious Goal」の頭文字を取ったものです。直訳すると「巨大で、毛深く、大胆な目標」。

なぜ「毛深い(Hairy)」なんて、ちょっと奇妙な言葉が入っているんでしょう?

それは、思わず鳥肌が立つほど具体的で、リアルで、心からワクワクするような目標だからです。遠い未来のぼんやりとした「夢」とは一線を画します。

BHAGは、「今期売上〇〇達成」といった短期的なSMARTゴールとも違います。これは、10年、20年という長い年月をかけて追い続ける、人生の羅針盤となる「北極星」のような存在。この星が空に輝いている限り、僕たちは日々の嵐に揺さぶられても、決して進むべき道を見失うことはありません。

自分の「棚卸し」結果を未来の設計図に落とし込む

では、どうすれば自分だけのBHAGを設定できるのでしょうか?ポイントは、これまでの自己分析の結果を、未来の設計図へと落とし込んでいくことです。

1.「Wheel of Life」から課題と可能性を見つける

あなたの人生の輪で、点数が低かった項目は何でしたか?それは、あなたがこれから成長できる大きな可能性を秘めた分野です。逆に点数が高かった項目は、あなたの強みであり、目標達成のエンジンとなります。僕の場合、「健康(6点)」という課題と、「妻との関係(9点)」という強固な土台が見えました。

2.「Core Values」と目標をシンクロさせる

設定する目標が、あなたの核となる価値観と一致しているか、何度も確認してください。「社会的に成功すべきだ」といった外的なプレッシャーではなく、「好奇心を満たしたい」「バランスを大切にしたい」といった、あなたの内側から湧き出る「〜したい」という純粋な動機に基づいているかが極めて重要です。

3.「Friends Exercise」で見えた強みを活かす

友人たちが教えてくれたあなたの「提供価値」を思い出してください。「信頼できる」「人を前向きにさせる」といったあなたの強みは、壮大な目標を達成する過程で、必ずや多くの協力者を引き寄せる力となるでしょう。

これらの要素をパズルのように組み合わせることで、単なる憧れではない、地に足のついた、あなただけのリアルなBHAGが姿を現し始めます。

僕の北極星は「異なる文化・価値観・アイディアをつなぐ架け橋になる

このプロセスを経て、僕が自分自身のために設定したBHAG(北極星)は、この一文に集約されます。

僕は、異なる文化・価値観・アイディアをつなぐ架け橋を築き、より良い未来を創りたい!

しかし、これは単なるスローガンではありません。このBHAGは、僕の生き方そのものを表す、より深いビジョンに支えられています。

どう生きるか(Being)

友人たちが鏡のように映し出してくれた「誠実で、前向きで、信頼できる」という姿。そして自分で見出した「ありのまま、好奇心旺盛に」というコアバリュー。これらを体現しながら、周りをインスパイアできる存在でありたい。

どう行動するか(Doing)

今後10年間で、このビジョンを達成するために、学びや社会貢献、そして他者の成長を支援するための「持続可能なプラットフォーム」を創り出すことに全力を注ぎます。

何を残すか(Legacy)

最終的に、家族や友人のために全力を尽くし、次の世代に希望と機会を与え、そして他の人々が夢を叶えるために渡れるような「架け橋」を築くことで、世界にポジティブな影響を残した人間として記憶されたい。

このように、「Being(あり方)」「Doing(行動)」「Legacy(遺産)」までを具体的に描くことで、BHAGは初めて「毛深い(Hairy)、リアルで、魂を揺さぶる目標」になるのです。

人生の「棚卸し」から始める、あなただけの壮大な物語

3回にわたってお届けした「Living Legacy」ワークショップ。

これは単なる自己分析ツールではありません。あなた自身が主人公となる、壮大な物語(レガシー)を書き始めるための、いわば「第1章」です。

起業や海外進出という挑戦の道は、時に孤独で、霧の中で先が見えなくなることもあります。しかし、自分だけのBHAGという決して消えることのない北極星が輝いていれば、あなたはもう道に迷うことはありません。

さあ、次はあなたの番です。

まずはペンと紙を用意して、自分だけの人生の棚卸しを始めてみませんか?そこから、あなただけの壮大な物語が幕を開けます。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。