これまでの2回の記事で、僕たちは人生の「棚卸し」を実践してきました。
第1回では「Wheel of Life」と「Core Values」で自分の現在地とコンパスを確認し、第2回では「Friends Exercise」で他人という鏡に映る自分の姿を知りました。
さあ、いよいよ最終回です。今回は、これらの自己分析の集大成として、あなたの人生を懸けて追いかけるべき「北極星」を見つける方法、「Personal BHAG(個人的で、壮大かつ大胆な目標)」の設定についてお話しします。
BHAGとは?単なる「夢」で終わらせない目標設定の力
BHAG(ビーハグ)という言葉を聞いたことがありますか?
これは、経営学の名著『ビジョナリー・カンパニー』の著者ジム・コリンズが提唱した概念で、「Big Hairy Audacious Goal」の頭文字を取ったものです。直訳すると「巨大で、毛深く、大胆な目標」。
なぜ「毛深い(Hairy)」なんて、ちょっと奇妙な言葉が入っているんでしょう?
それは、思わず鳥肌が立つほど具体的で、リアルで、心からワクワクするような目標だからです。遠い未来のぼんやりとした「夢」とは一線を画します。
BHAGは、「今期売上〇〇達成」といった短期的なSMARTゴールとも違います。これは、10年、20年という長い年月をかけて追い続ける、人生の羅針盤となる「北極星」のような存在。この星が空に輝いている限り、僕たちは日々の嵐に揺さぶられても、決して進むべき道を見失うことはありません。
自分の「棚卸し」結果を未来の設計図に落とし込む
では、どうすれば自分だけのBHAGを設定できるのでしょうか?ポイントは、これまでの自己分析の結果を、未来の設計図へと落とし込んでいくことです。
1.「Wheel of Life」から課題と可能性を見つける
あなたの人生の輪で、点数が低かった項目は何でしたか?それは、あなたがこれから成長できる大きな可能性を秘めた分野です。逆に点数が高かった項目は、あなたの強みであり、目標達成のエンジンとなります。僕の場合、「健康(6点)」という課題と、「妻との関係(9点)」という強固な土台が見えました。
2.「Core Values」と目標をシンクロさせる
設定する目標が、あなたの核となる価値観と一致しているか、何度も確認してください。「社会的に成功すべきだ」といった外的なプレッシャーではなく、「好奇心を満たしたい」「バランスを大切にしたい」といった、あなたの内側から湧き出る「〜したい」という純粋な動機に基づいているかが極めて重要です。
3.「Friends Exercise」で見えた強みを活かす
友人たちが教えてくれたあなたの「提供価値」を思い出してください。「信頼できる」「人を前向きにさせる」といったあなたの強みは、壮大な目標を達成する過程で、必ずや多くの協力者を引き寄せる力となるでしょう。
これらの要素をパズルのように組み合わせることで、単なる憧れではない、地に足のついた、あなただけのリアルなBHAGが姿を現し始めます。

僕の北極星は「異なる文化・価値観・アイディアをつなぐ架け橋になる」
このプロセスを経て、僕が自分自身のために設定したBHAG(北極星)は、この一文に集約されます。
僕は、異なる文化・価値観・アイディアをつなぐ架け橋を築き、より良い未来を創りたい!
しかし、これは単なるスローガンではありません。このBHAGは、僕の生き方そのものを表す、より深いビジョンに支えられています。
どう生きるか(Being)
友人たちが鏡のように映し出してくれた「誠実で、前向きで、信頼できる」という姿。そして自分で見出した「ありのまま、好奇心旺盛に」というコアバリュー。これらを体現しながら、周りをインスパイアできる存在でありたい。
どう行動するか(Doing)
今後10年間で、このビジョンを達成するために、学びや社会貢献、そして他者の成長を支援するための「持続可能なプラットフォーム」を創り出すことに全力を注ぎます。
何を残すか(Legacy)
最終的に、家族や友人のために全力を尽くし、次の世代に希望と機会を与え、そして他の人々が夢を叶えるために渡れるような「架け橋」を築くことで、世界にポジティブな影響を残した人間として記憶されたい。
このように、「Being(あり方)」「Doing(行動)」「Legacy(遺産)」までを具体的に描くことで、BHAGは初めて「毛深い(Hairy)、リアルで、魂を揺さぶる目標」になるのです。
人生の「棚卸し」から始める、あなただけの壮大な物語
3回にわたってお届けした「Living Legacy」ワークショップ。
これは単なる自己分析ツールではありません。あなた自身が主人公となる、壮大な物語(レガシー)を書き始めるための、いわば「第1章」です。
起業や海外進出という挑戦の道は、時に孤独で、霧の中で先が見えなくなることもあります。しかし、自分だけのBHAGという決して消えることのない北極星が輝いていれば、あなたはもう道に迷うことはありません。
さあ、次はあなたの番です。
まずはペンと紙を用意して、自分だけの人生の棚卸しを始めてみませんか?そこから、あなただけの壮大な物語が幕を開けます。



