ポルトガル旅行記(後編)ファドの哀愁に浸りながら、焼きたてエッグタルトを味わう幸せ

前回に引き続き、2025年の9月に訪れたポルトガル・リスボンの旅行記をお届けします。

前編では歴史や治安について触れましたが、今回の後編は五感で楽しむポルトガルです。「視覚(街並み)」「聴覚(音楽)」「味覚(グルメ)」の3つの視点で、リスボンの魅力をご紹介します。

白と黒の石畳、レトロな路面電車が走る街

リスボンの街を歩いていて、まず目を奪われるのが足元です。

街のいたるところが、白と黒の石を組み合わせた「石畳(カルサダ・ポルトゲーザ)」で埋め尽くされています。ただの舗装じゃなくて、波模様や幾何学模様が描かれていて、まるで芸術作品の上を歩いているような感覚になります。

そしてリスボンは、とにかく「坂」が多い街。「7つの丘の街」と呼ばれるほど起伏が激しいんですが、その坂道を縫うように走るのが、レトロな路面電車(トラム)です。

黄色い車体がガタゴトと音を立てて、狭い路地をすり抜けていく様子は、まるで映画のワンシーンみたい。

日本で言うと、僕の地元でもある鎌倉の「江ノ電」とか、昭和の「チンチン電車」みたいな感じでしょうか。初めて見る景色なのに、なぜか強烈なノスタルジーを感じました。

ちなみに、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジにそっくりな「4月25日橋」という赤い吊り橋もあります。実はこれ、アメリカの建設会社が作ったそうで、兄弟のような関係なんだとか。

坂道、路面電車、そして赤い橋。遠い異国の地で、なじみのある風景を見つけるのも旅の面白さですね。

魂を揺さぶる「ファド」と、脂ののったイワシ

ポルトガルの夜に欠かせないのが、民族歌謡の「ファド(Fado)」です。

ギターの伴奏に合わせて歌い手が独唱するスタイルなんですが、そのメロディがとにかく美しい!そして、胸がしめつけられるほどに切ないんです。

ファドの歌詞の多くは、叶わぬ恋や、海に出て帰らぬ人を待つ悲しみに加えて、「サウダージ(郷愁・憧憬)」を歌っています。かつて大航海時代、夫や恋人を海へと送り出した女性たちの不安や悲しみが、そのルーツにあるそうです。

フランスのシャンソンとも違う、もっと土着的で、魂の叫びのような歌声。言葉は分からなくても、その哀愁漂うメロディを聴いているだけで、自然と涙が出そうになりました。

「美しいけれど、悲しい」。この情緒深さもまた、ポルトガルの魅力だと思います。

ポルトガルグルメ

─ 続いて語りたいのは、ポルトガルグルメ。

僕が訪れた9月は、ちょうど「イワシ」が美味しい季節の終わりごろでした。港町で食べたイワシの塩焼きは、脂が乗っていて絶品。シンプルに塩だけで焼いたイワシをビールで流し込んだ瞬間、「あぁ、日本人でよかった」「ポルトガルに来てよかった」と感じました。

そして忘れちゃいけないのが、デザートの「パステル・デ・ナタ(エッグタルト)」。

サクサクのパイ生地の中に、濃厚なカスタードクリームがたっぷり。街中にはたくさんのカフェ(パステラリア)があって、焼きたてをその場で食べられます。甘い香りに誘われて、ついつい食べ過ぎてしまいました。

ポルトガルの人々の優しさに触れて

今回の旅を通して一番心に残ったのは、ポルトガルの人々の「優しさ」でした。

決して押しつけがましくなく、困っているところへそっと手を差し伸べてくれる。そんな温かい距離感が心地よかったです。

歴史ある建物、美味しい料理、そして優しい人々。ポルトガルは派手な観光地じゃないかもしれませんが、じわじわと心に染み入るような、深い味わいのある国でした。

日本との歴史的なつながりを感じながら、石畳の路地を迷い歩き、甘いエッグタルトを頬張る。そんな素敵な体験ができるリスボンへ、皆さんもぜひ一度訪れてみてください。

きっと、忘れられない「サウダージ」を感じられるはずです。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。