エプスタイン「顧客リスト」に関する私見とMTG辞任が映し出すトランプ政権の闇

まさか、あの人が辞めるなんて

2026年1月、アメリカ政界に衝撃が走りました。

トランプ大統領の最も熱烈な支持者であり、「MAGA(アメリカを再び偉大に)」の象徴とも言えたマジョリー・テイラー・グリーン(※以降は略してMTG)議員が、任期を1年残して辞任したのです。

彼女といえば、バイデン前大統領の一般教書演説で「MAGA」の帽子を被って出席し、トランプ氏の二度の弾劾裁判では誰よりも激しく彼を擁護した人物。

そんな「トランプ最側近」が、なぜ決別に至ったのか。

辞任声明の中で、彼女は自らこう明かしています。「大統領から『裏切り者(traitor)』と呼ばれ、予備選で対立候補を立てると脅された」と。トランプ氏もSNSで彼女を「Wacky(変人)」と呼び、「辞任は国にとって素晴らしいニュース」とまで言い放ちました。

かつての盟友同士が、なぜここまで決裂したのか。僕は、その背景にある一つのテーマに注目しています。

開けられない「パンドラの箱」――エプスタインの顧客リスト

ジェフリー・エプスタイン──この名前を覚えているでしょうか。未成年の少女たちへの組織的な性的虐待と人身売買で有罪となり、拘留中に死亡した富豪です。

彼の「顧客リスト」には、英国のアンドルー王子、ビル・クリントン元大統領、ビル・ゲイツ氏など、世界中の権力者の名前が含まれていると言われています。その全容公開を求める声は今も絶えません。

2024年の選挙戦で、トランプ氏は「エプスタイン関連ファイルの公開に問題はない」と発言していました。
その言葉どおり、現在までに関連文書の一部が公開されており、形式的には公約が守られたと見る向きもあります。

しかし、多くのMAGA支持者が期待していたのは、関連ファイル一般ではなく、「エプスタインの顧客リスト」という核心部分の開示だったはずです。

ところが現実はどうだったかというと、大統領に返り咲いた今も、エプスタインの「顧客リスト」が全容の分かる形で公開される気配はありません。

「透明性」を求めた代償

MTG議員は、エプスタイン「顧客リスト」の公開を求める立場を鮮明にしました。彼女にとっては当然のことだったはずです。14歳、15歳の少女たちが被害に遭った事件。選挙で約束したことは守るべきだ、と。

しかし、その姿勢がトランプ氏の逆鱗に触れた。報道によれば、彼女には殺害予告が届き、息子への脅迫まであったといいます。

辞任声明で彼女はこう書いています。「14歳でレイプされ、人身売買された女性たちのために立ち上がったことで、大統領から『裏切り者』呼ばわりされたり、脅されたりするのは不条理だ」と。

この出来事が投げかける問い

ここからは、完全に僕の私見です。

なぜトランプ氏は、エプスタインの「顧客リスト」の全面公開に消極的なのか。彼自身がリストに載っているのか、あるいは強大な権力者たちからの圧力があるのか。もちろん、そこは僕には全くわかりません。

ただ、「闇を暴く」と宣言した人物が、少なくともエプスタインの「顧客リスト」という核心部分について、明確な説明や踏み込んだ対応を示していないことは事実です。

MTG議員の辞任は、MAGA運動の「崩壊」を意味するのか否か。現時点ではわかりませんが、内部に深い亀裂が走り始めていることは確かでしょう。

一つだけ確実に言えるのは、「真実の公開」を求める声は、立場を超えて存在し続けるということ。みにくい膿は、いつか全て出し切らなければならないと僕は思います。

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この記事を書いた人

総合商社で中近東および中南米向けの機械輸出ビジネスに従事した後、大手コンサルティングファームにてディレクターとして日本企業および欧米企業のグローバルプロジェクトを担当。2012年よりロサンゼルスに活動拠点を移し、2人の仲間とともに「Exa Innovation Studio(EIS)」を創業。

現在は、EISで日米欧の新規事業開発に取り組むと同時に、2020年に創業した日本特有の天然素材と道具を組み合わせたウェルネスブランド「Shikohin」および新規事業育成ファンド「E-studio」の経営に従事 。

起業家の世界的ネットワークであるEntrepreneurs’ Organization(EO)のロサンゼルスおよびラテンアメリカ・チャプターのメンバーとして、多くの若手起業家のコーチングに取り組む。2016年よりアクセラレーター「Founders Boost」でメンターを務め、多くのスタートアップのアドバイザーを務める。

慶應義塾大学環境情報学部卒業。