前回は、トランプ政権が設立した「米国版ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)」が、アメリカの借金救済策であることをお話ししました。
今回は、その「お金の集め方(調達)」と「使い道(投資先)」について深掘りします。トランプ大統領の不動産王らしい発想と、なりふり構わないハイテク覇権への執念が見えるはずです。
トランプ流「錬金術」!3つの巨大な資金源
問題は、どうやって300兆円も集めるのか。トランプの答えは3つです。
輸入品にかける関税を、そのままファンドへ。
ここが不動産王らしい。広大な政府保有地を、エネルギー開発や工場用地として売却・リース。土地で稼ぐわけです。
サウジアラビアやUAEに「アメリカに投資しろ」と迫る。サウジは4年で6000億ドル、UAEは10年で1.4兆ドルとも言われています。
単に税金を使うのではなく、国の資産と外交カードをフル活用して資金を作る。これがトランプ流のファイナンスです。

投資先は「半導体」と「エネルギー」
集めたお金はどこへ向かうのか?
象徴的なのが、インテルへの投資です。政府がインテルの株式を10%取得したという動きは、市場に衝撃を与えました。かつて世界一だったインテルも、近年は台湾のTSMCや韓国のサムスンに後れを取っています。しかし、半導体は現代の「産業の米」であり、軍事技術の核。
「TSMCやサムスンは同盟国だが、外国企業だ。有事に何が起こるかわからない」
そう考えるアメリカは、なりふり構わず自国企業(インテル)を買い支え、国内回帰(リショアリング)を進めています。その他、AI、レアアース、次世代エネルギーなども主要な投資ターゲットです。

イノベーションと引き換えにマネーを呼ぶ
なぜ中東諸国は、トランプ大統領の要求に応じてアメリカに投資するのか?
それは、彼らが「石油の次」を探しているからです。お金はあるけれど、自国からはAIや最先端のイノベーションが生まれない。だから、トランプ大統領がNVIDIAのジェンスン・フアン氏らハイテク企業のトップを連れて中東を訪問し、こう交渉するわけです。
「アメリカに投資すれば、データセンターや最新技術をおたくの国にも持って行ってやるよ」
これは単なる投資話ではなく、「技術と覇権のバーター取引」と言えます。
次回は、この巨大な渦に巻き込まれつつある、私たち「日本」への影響について考えます。噂される5500億ドルの請求書とは……?


